ハシボソヤマネは、Muscardinus avellanariusという小型のヤマネ類です。体長は約6~9cm、尾長は約5~7.5cm、通常の体重は約17~20gですが、冬眠前には脂肪を蓄えて30~40gに達することがあります。夜行性で樹上生活に適応しており、柔らかい毛と大きな目、敏捷な尾を持つのが特徴です。イギリスの資料では、ハシボソヤマネを特に「ヤマネ(dormouse)」と呼ぶことが多く、ハシバミヤマネやコモンヤマネと区別されます。
特徴
- 体つき:丸みを帯びた小型の体にふさふさした尾。耳は比較的大きく、視覚と嗅覚が発達しています。
- 毛色:通常は黄褐色〜赤褐色で、季節や個体によって若干の差があります。
- 運動能力:樹上を移動するのが得意で、枝から枝へと飛び移ることができます。巣材を使って球状の巣(ボール状の巣)を木の枝間に作ります。
生態
ハシボソヤマネは主に夜間に活動し、夏期は果実、ナッツ、昆虫、花粉、芽などを幅広く食べます。食性は季節によって変わり、秋には脂肪を蓄えるためにナッツ類や果実を多く食べます。巣は葉や苔、樹皮などで作られ、高木の枝間や低木の隠れた場所に設置されます。
繁殖は春から夏にかけて行われ、年に1回〜2回繁殖することがあります。妊娠期間はおよそ数週間(約3〜4週間)で、1回の出産で数頭の仔を産み育てます。天敵にはフクロウや猛禽類、イタチ類、飼い猫などが含まれます。
分布・生息地
ハシボソヤマネは、ヨーロッパ北部から中央部、そして小アジアが原産とされる地域に広く分布しています。落葉樹林や混合林、茂った生け垣(ヘッジロー)や藪など、連続した植生がある場所を好みます。
食用ヤマネ(Glis glis)は過去に人為的に持ち込まれて一部で定着している地域がありますが、自然状態でイギリスに元来生息するヤマネはハシボソヤマネだけです。イギリス内での記録や分布情報は、National Biodivestity Networkのウェブサイトなどで公開されています。
冬眠について
ハシボソヤマネは秋〜冬にかけて冬眠(長期の休眠状態)に入ります。地域や気候にもよりますが、一般に10月頃から冬眠を始め、春先(4月〜5月)に目覚める個体が多いです。冬眠中は体温と代謝を大幅に下げ、貯えた脂肪をエネルギー源として過ごします。
冬眠場所は地上の巣穴ではなく、木の空洞や厚い枯葉の巣の中など、凍結しにくい保温性のある場所が選ばれます。一部の個体は浅い休眠(短いトーピング)を繰り返す場合もあります。
保全状況と人間との関係
地域によって個体数は減少傾向にあり、主な原因は生息地の破壊や断片化(森林伐採、農地開発、ヘッジローの減少など)です。イギリスをはじめ多くの国で保護の対象となり、保全の取り組みや生息地管理が進められています。個体数を守るためには、植生の連続性を保つこと、雑木林やヘッジローの保全・再生が重要です。
観察のヒント
- 夜行性のため昼間の目撃は少ないですが、巣材のある木の穴やヘッジロー近くでの糞、かじったナッツの痕跡から存在を推測できます。
- 秋には果実やナッツの周辺で活動が活発になり、観察のチャンスが増えますが、自然を乱さないよう距離を保って観察してください。
- 生息地を保護するため、開発や剪定を行う際は地域の野生動物保護ガイドラインに従うことが望まれます。
ハシボソヤマネは見た目が可愛らしく、地域の生態系や生物多様性にとって重要な存在です。身近な森林やヘッジローの保全が、その将来を左右します。

