Lepidoptera(鱗翅目)は、昆虫綱の中で2番目に大きな目です。などが含まれます(注:元の表記では誤って カワセミ と記されていましたが、鱗翅目に含まれるのは鳥類ではなく昆虫の「蝶」と「蛾」です)。この目をまとめて呼ぶ一般的な日本語は特になく、日常的には「蝶と蛾」と言われます。鱗翅類を専門に集めたり研究したりする人は「レピドプテリスト(lepidopterist、鱗翅目研究者)」と呼ばれます。

現在までに記載されている鱗翅目の種は約18万種以上で、科は128、超科は47に分類されています。これは記載された全生物種の約10%を占め、記載種数がもっとも多い群はコールプター目(甲虫類)のみです。

名称は古代ギリシャ語の λεπίς(lepis:鱗)と πτερόν(pteron:翼)に由来します。鱗翅類の特徴である「翅を覆う鱗(微小な鱗片)」から名づけられました。

発見された最古の化石記録は約2億年前(中生代のジュラ紀付近)にさかのぼると考えられており、長い進化史を持つ群です。

主な特徴

  • 鱗(うろこ)を持つ翅:翅全体が微小な鱗片(鱗毛)で覆われており、色や模様はこれらの鱗の配列や色素によって生じます。
  • 完全変態:卵→幼虫(いわゆるイモムシ・毛虫)→蛹→成虫の完全変態を示します。幼虫期と成虫期で生活様式や食性が大きく異なることが多いです。
  • 口器:多くの成虫は巻いた吸管状の口吻(proboscis)を持ち、花の蜜や樹液などを吸います。一方、幼虫は咀嚼(そしゃく)型の口器を持ち植物を食べます。
  • 色と擬態:捕食者を避けるための擬態、警戒色、カモフラージュ、目玉模様など多様なパターンが発達しています。

生活史と生態

幼虫(イモムシ)は植物の葉を食べるものが多く、農業上の害虫となる種も多い反面、特定植物と密接に共生する種もあります。蛹で越冬する種、年に複数回発生する種、渡りを行う種(例:シロチョウ類やアサギマダラなど)もいます。成虫は花粉媒介に関わることがあり、生態系サービスとして重要です。

分類と系統

鱗翅目は多様で、従来からの分類ではメイオギョウ類(古いグループ)から分化した多数の系統に分かれます。系統関係の研究は分子系統学の発展で進み、いくつかの大きな系統群(夜行性の蛾中心のグループ、日中活動する蝶類グループなど)が認識されています。他の近縁群としてはカワゲラ目(Trichoptera:コガネムシ等とは別)などがいます(注:系統名の扱いは研究によって変わります)。

分布と多様性

世界中に分布し、熱帯域を中心に種多様性が高いです。特に熱帯雨林には極めて多くの固有種が存在しますが、温帯地域でも多様で、季節性の行動を示す種が多く見られます。

人間との関わり

  • 経済的影響:イラクサ科やコムギなどの農作物を食害する害虫種が存在します。一方で、カイコ(蚕)は繭から生糸を取るために古くから飼育されてきました。
  • 文化と観賞:蝶は美しさから園芸・観察対象として人気があり、ガーデニングやエコツーリズムの題材にもなっています。
  • 環境指標:特定の蝶類や蛾類は生息環境の指標種とされ、生物多様性や環境変化のモニタリングに利用されます。

保全と課題

生息地の破壊、農薬の使用、気候変動、外来種などにより一部の種は減少しています。地域固有種や専門に特定植物に依存する種は特に影響を受けやすく、保全対策や生息環境の回復が求められます。

補足(用語と数値について)

分類体系や種数の数値は、新種記載や分類の改定により変動します。ここに示した「約18万種」「128科」「47超科」という数値は現在の記載種に基づく概算であり、未記載種を含めるとさらに多いことが予想されます。鱗翅目の研究は今も活発に行われており、新たな発見が続いています。