ミチバシリGeococcyx velox)は、ミチバシリ科の2種のうちの1種である。もう1種のミチバシリであるオオミチバシリによく似ているが、より小さく、くちばしも短い。メキシコと中米に生息する。

形態(外見)

全体に細長い体型で脚が長く、地上生活に適応している。尾は長く、停まっているときや走るときにバランスをとるのに役立つ。羽色は翼と尾が黒・茶・白のまだら模様、腹部は黄白色から淡褐色で、個体差や季節変化が見られる。頭頂には小さな冠羽(クレスト)を持つことが多い。

大きさ:体長は約12–20インチ(約30–51 cm)、体重は約8–15オンス(約230–425 g)。オスとメスでほとんど同じ外見だが、オスの方がやや大型になる傾向がある。

足・翼:足の趾列は二列趾(前に2本、後ろに2本)で、地上を素早く走るのに適している。くちばしは頑丈でやや短め(オオミチバシリより短い)で、捕食に用いられる。

分布と生息地

メキシコ中部〜南部から中米(グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラスなど)にかけて分布する。乾燥した低木地帯、サボテンやトゲのある藪地、半開放的な草原、農地の縁など、比較的乾いた開けた環境を好む。

生態と行動

  • 地上性:飛行は可能だが日常的には地上を走って移動することが多い。短距離で非常に速く走る能力があり、獲物の捕獲や逃避に有利である。
  • 食性:雑食性で、昆虫、クモ、サソリ、小型のトカゲやヘビ、齧歯類、小鳥やその卵、果実など幅広く食べる。毒蛇を捕らえて駆除することができるとされる記録もある。
  • 行動:単独またはつがいで行動することが多い。縄張り性があり、地面に残す跡や鳴き声でコミュニケーションを行う。

繁殖

繁殖期は地域によって異なるが、乾季の後または雨季に入る頃に繁殖する例が多い。つがいで巣を作り、低木やサボテン、時には建造物の上に粗い枯れ枝などで皿状の巣を作る。雌が2–5個程度の卵を産み、両親で抱卵と育雛を行う。孵化までの期間や巣立ちまでの日数は約2〜3週間程度と報告されることが多い。

鳴き声

低く連続する「クー…クー…」というハトに似た音や、時に鋭い呼び声、嘴や体によるパフォーマンス的な音を出すことがある。個体や地域によって声質やパターンに差がある。

類似種との区別

最もよく似るのは同属のオオミチバシリ(オオミチバシリにリンク)で、オオミチバシリは一般に大型でくちばしが長く、分布域や細かな羽色の違いで識別できる。ミチバシリ(G. velox)はより小型で短いくちばしが特徴。

保全状況

広い範囲に分布し、局所的には比較的よく見ることができる種とされる。IUCNでは一般に「軽度懸念(Least Concern)」とされることが多いが、生息地の開発や農地化による局所的な個体群減少は懸念される。人間の近くでも適応している個体群もあるが、棲み処の破壊や化学的農薬の影響には注意が必要である。

観察するときは、巣や繁殖個体に過度に接近しないようにし、自然を損なわないよう配慮することが重要である。