ネンミョン(冷麺)とは:韓国の伝統麺の種類・材料・食べ方解説
ネンミョン(冷麺)の歴史から種類・材料・美味しい食べ方まで写真付きで徹底解説。夏にぴったりの韓国伝統麺ガイド。
ネンミョンは韓国の夏の伝統的な食べ物です。名前は「冷麺」を意味し、冷たく締めた麺をだしやタレと一緒に食べる料理の総称です。ネンミョンの基本的な材料は、小麦粉、ゆで卵、キュウリのスライス、ゆでた肉のスライスなどが一般的です。ネンミョンの種類によっては、水やコチュジャンを加えることもある。小麦粉、そば粉、ジャガイモ、サツマイモなどを原料とする麺の種類も多く、地域や店ごとに風味や食感が変わります。
主な種類
- ムル冷麺(물냉면):冷たいスープ(牛骨だしや冬季のダイコン漬け汁「동치미(トンチミ)」をベース)に氷を浮かべ、冷たくして食べるスタイル。さっぱりした味わいで、暑い季節に人気です。
- ビビン冷麺(비빔냉면):スープはほとんど使わず、甘辛いタレ(コチュジャンベース)で和えて食べるタイプ。濃い味が好きな人向けです。
- イェルム(열무)冷麺などの派生:若い大根(열무)を使った冷麺や、地域特有のアレンジ(ピリ辛、酢強め、薬味多めなど)もあります。
- 地域別の特色:平壌(ピョンヤン)スタイルは澄んだ牛骨スープとやわらかめの麺、咸興(ハムフン)スタイルはよりコシのある麺と辛めの味付けが特徴です。
麺の材料と食感
ネンミョンの麺は、原料によって食感が大きく異なります。そば粉(蕎麦粉)や小麦粉だけでなく、ジャガイモ澱粉(でんぷん)やサツマイモ澱粉、緩やかに混ぜた複合粉を使うことが多く、弾力(コシ)とツルツルしたのどごしが特徴です。店によっては冷麺専用の配合で独特の食感を出しています。
スープ・調味料・トッピング
- スープ:牛骨スープを長時間煮出したものや、大根の水キムチ(동치미)の漬け汁を使うことが多いです。冷たくして提供し、氷を入れる店もあります。
- 調味料:酢や練りからし(からし酢)、砂糖少々、栄養と酸味を加えるためのレモンや梨のすりおろしを用いることもあります。ビビン冷麺ではコチュジャンベースの甘辛いタレを使います(種類によっては先述のようにコチュジャンを加えることもある。)。
- トッピング:ゆで卵、薄切りの茹で肉(牛肉や鶏)、キュウリの細切り、薄切りの梨や大根の酢漬け、海苔、ごま、ネギなど。具材は彩りと食感のアクセントになります。
食べ方のポイント
- 出てきたらまずスープの味を確認し、好みによって酢や辛子、砂糖を少量ずつ足して調整します。
- 麺は長くてコシがあるため、韓国ではハサミで食べやすく切ってから食べることが一般的です(店でハサミが出されることが多い)。
- ビビン冷麺はよくタレと麺を混ぜてから食べます。ムル冷麺はスープの冷たさと麺の食感を楽しみながら、具材と一緒にすするのが定番です。
- 冷たい麺は体感的に冷えるので、食後に温かいスープやスープ類(コンジやユッケジャンなど)を一緒に提供する店もあります。
歴史と地域性
冷麺は北朝鮮側(特に平壌・咸興)で発展した料理が韓国全土に広まったとも言われ、地域ごとの麺やだし、トッピングの違いがはっきりしています。朝鮮半島の気候風土と保存技術(発酵食品や冷蔵文化)の影響で、夏場の定番料理として根付いています。
家庭で作るときの簡単なコツ
- 市販の冷麺用麺を使えば、ゆで時間は表示より短めに(茹で過ぎるとコシがなくなる)し、冷水でよく洗ってぬめりと余熱を取る。
- スープは市販のだしや牛だしスープをベースに、ダイコンの漬け汁や薄口醤油、塩で味を調整すると手軽に近い風味が出せます。
- ビビン冷麺のタレは、コチュジャン、酢、砂糖、醤油、ごま油をベースに好みで調整します。
ネンミョンはシンプルながら素材の質とバランスで味わいが大きく変わる料理です。暑い季節にさっぱりとした一杯を楽しんでください。
歴史
19世紀の文献によると、朝鮮王朝時代から作られていたらしい。朝鮮半島北部で珍味として作られたのが始まり。北朝鮮の平壌市や咸興市で人気があった。朝鮮戦争後、ネンミョンは韓国で広く普及するようになった。
タイプ
ネンミョンには大きく分けて「ムルネンミョン」と「ビビンネンミョン」の2種類がある。ムルネンミョンは、牛肉や鶏肉でとったスープに麺を入れ、冷たいスープとして食べる。ビビンネンミョンは、コチュジャンを主成分とした辛味のあるドレッシングをかけて食べる。
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