概要
偽足(単数形: pseudopodium)は、細胞質が細胞膜を外側へ押し出すことで生じる、一時的でしばしば不規則な細胞表面の突起である。多くの真核生物の細胞に見られ、アメーバ状に移動したり、粒子を取り込んだりする。偽足による運動は、鞭毛や繊毛と並ぶ、単細胞生物の主要な運動様式の一つである。典型例としては、モデル生物のアメーバ属のような自由生活性アメーバや、いくつかの免疫細胞がある。
構造と仕組み
偽足の中心には、細胞質の流れと再編成された細胞骨格がある。アクチンフィラメントが膜の近くで重合し、突き出す力を生み出して突起を伸ばす。一方で、細胞の別の部分ではミオシンによる収縮が起こり、細胞本体を前方へ引き寄せることができる。こうした細胞質の流れと支持フィラメントの網目構造は、変形しやすいメッシュのように振る舞う。たとえば、柔らかい物質やゼラチンで満たされ、引き伸ばされる網を想像すると、形がすばやく変わる様子を思い描きやすい。先端部での化学的・機械的シグナルが、どこで突起が生じ、どう安定化するかを導く。
偽足の種類
偽足は形や持続時間がさまざまである。こうした形態の違いは、生物の同定や行動の理解に役立つ。
- 葉状仮足: 広く丸みのあるふくらみで、古典的なアメーバに多く、移動と獲物の取り込みの両方に使われる。
- 糸状仮足: 細く針のような突起で、周囲を探り、感覚的または探索的な構造として働く。
- 網状仮足: 互いにつながった偽足が網目状の不規則な網を作るもので、いくつかの有孔虫に典型的で、粒子の捕捉に使われる。
- 軸足: 軸方向に並んだ微小管に支えられた非常に細い突起で、急速に退縮することがあり、放散虫やヘリオゾアなどに見られる。
機能と例
偽足は移動だけでなく、貪食にも重要である。貪食とは、細胞が食物、破片、微生物を取り囲んで内部に取り込む過程である。多くの原生生物は、細胞質を対象の周囲へ流し、内部の液胞に閉じ込めることで獲物を捕らえる。多細胞動物では、白血球のような免疫系の細胞が、組織内を移動し病原体を取り込むために、偽足に似た突起を用いる。偽足の動態は、より高等な生物における創傷治癒、発生、組織の監視にも寄与する。
歴史、用語、重要な区別
這う細胞や形を変える微生物の観察は、初期の光学顕微鏡の時代にさかのぼる。pseudopodium という語は、「偽の足」を意味するギリシャ語の語根に由来し、その見た目を表している。現代の顕微鏡技術と細胞生物学は、突起形成を駆動する分子の担い手――アクチン、関連する制御タンパク質、膜輸送――を明らかにしてきた。層状仮足や侵入仮足のような関連構造はより特殊化しているが、偽足という広い用語は、恒常的な細胞小器官ではなく、一時的で細胞質により駆動される突起を強調する。
注目すべき点と文脈
偽足のふるまいは幅広い。短く鈍い葉を作って安定して這う細胞もあれば、濃度勾配を感知するために長い糸状の突起を伸ばすものもある。その研究は、運動様式、生態学、免疫学、細胞生物学を結びつける。単細胞生物がどのように餌を見つけるか、食細胞が感染にどう反応するか、細胞骨格がどのように力を生み出すかを理解する手がかりになる。入門的な参考としては、細胞運動と原生生物生物学に関する一般的な解説(細胞質の概説、運動様式、膜動態)を参照できる。さらに、真核細胞の構造、細胞の種類、顕微鏡発見の歴史的要約(アメーバの例、網のたとえ、ゲル状の細胞質、鞭毛との比較、繊毛との比較、免疫細胞の移動、軸足をもつ生物)にも関連項目がある。