セレナはキャリアの間に22本のミュージックビデオと12本のビデオ/ライブアルバム(映像作品)を発表している。以下では、制作年や主な撮影地、内容の要点をできる限り整理して紹介する。

主なミュージックビデオ(年順・撮影地を含む)

  • 「Buenos Amigos」 — 1991年(夏)・撮影地:エル・サルバドルの歌手アルバロ・トーレスとのデュエット映像。セレナとトーレスの背後でオーケストラが演奏する場面が特徴的。
  • 「La Carcacha」 — 1991年(上記の約4か月後)・セレナのソロとしての初期のビデオ。クロマキー合成(交通の多い高速道路の映像など)や通りを歩く人々の前で踊るセレナのカットが組み合わされている(撮影地の詳細は公表されていない場合が多い)。
  • 「La Llamada」 — 1993年春・撮影地:カリフォルニア州マリブのビーチハウス。セレナと数人がクンビアダンスを踊るシーンが中心。
  • 「DondeQuiera Que Estes」 — 1993年12月・撮影地:ニューヨーク。セレナとバリオ・ボーイズがヒップホップ風のダンスを披露する映像。
  • Amor Prohibido」 — 1994年(バレンタインデーに公開という表記あり)・撮影地:カリフォルニア州ジョシュアツリー国立公園。荒涼とした風景を背景にした演出が印象的。
  • 「Bidi Bidi Bom Bom」 — 撮影地:サンタモニカの桟橋で撮影され、カジュアルで親しみやすいパフォーマンス映像。
  • No Me Queda Mas」 — 撮影地:テキサス州サンアントニオのアムトラック駅で撮影。セレナが生前に公開した最後期のミュージックビデオの一つ。
  • 「No Debes Jugar」 — 1995年7月にテレムンド(Telemundo)からリリース。テレビ番組パドリーシモ(Padrisimo)内でのライブパフォーマンス映像がフィーチャーされた。
  • 「Fotos y Recuerdos」 — 1995年7月・同じくTelemundoからのリリース。セレナのホームビデオや過去映像を編集した構成。
  • I Could Fall in Love」 — 1995年8月・セレナの映像や写真をモンタージュでつないだプロモーション的なビデオ。
  • 「ドリーミング・オブ・ユー(Dreaming of You)」 — 公開時期:1995年(ドリーミング・オブ・ユーは遺作アルバムのタイトル曲としても知られる)。ビデオでは、孤独で落ち込んだ少女が家出を決意して荷造りする女優の演技が描かれ、家族の生活の断片(母親が夜空を見上げる場面など)を通して「人生は短いから大切な人と一緒にいよう」というメッセージを視聴者に伝えている。
  • 「Techno Cumbia」 — 「Bidi Bidi Bom Bom」の未公開シーンや、楽曲に合わせて踊るダンサーたちのフッテージを中心に編集した作品。
  • 「Tú Sólo Tú」 — 1995年9月リリース。セレナの既存ビデオや写真を用いた編集映像。Mariachi Sol de Méxicoが出演し、バックアップ・シンガーとしても参加している。
  • 「I'm Getting Used To You」 — ドリーミング・オブ・ユーの収録曲で、最後に公開されたミュージックビデオの一つ。ビデオ内では“セレナ・ワナーブ”が“セレナ”役のオーディションを受ける場面や、恋に落ちる若い成人のカップルのエピソードが描かれている。
  • 「Siempre Hace Frio」 — リミックスアルバム『Siempre Selena』のプロモーション用にリリース。編集映像としての性格が強く、映像の一部に全身をクロマキーで覆った出演者が登場する演出がある。ジェニファー・ロペスが“Selena”としてビデオに登場している(プロモーションの一環としての出演)。
  • 「No Quiero Saber(リミックス版)」 — 1996年12月リリース。コンサート映像を中心に編集されたビデオで、ライブでのパフォーマンスの雰囲気を伝える作品。
  • 「A Boy Like That」 — 1997年夏リリース。監督はケニー・オルテガが務め、放射性に発光する塗料で覆ったシャツを着たバックダンサーが登場するなど、視覚効果に富んだ演出が特徴。
  • 「Missing My Baby」 — VH1のプロデューサーによって制作されたプロモーションビデオ。1998年に発売されたボックスセット『アンソロジー』(Anthology)のプロモーション用として、1998年秋に公開された。
  • 「Disco Medley」 — 1995年2月26日に行われたヒューストンのアストロドームでのセレナのライブ(Astrodomeでのパフォーマンス)をフィーチャーした映像編集。

ポストヒューマス/トリビュート映像・コラボレーション(主な例)

  • 「Viviras Selena」 — 1997年3月にリリースされたトリビュート曲の映像。撮影はQ-Productionionsのレコーディングスタジオで行われ、ピート・アストゥディージョ、ボビー・プリド、エミリオ・ナヴァリア、ジェニファー・ペーニャ、グラシエラ・ベルトラン、バリオ・ボーイズなど複数のテハノ歌手がライブ録音に参加している。
  • 2001年:Los Tres Reyesがデュエットバージョンの「No Me Queda Mas」をリリース。セレナの映像はミュージック・ビデオ内の2シーンのみ使用された。
  • 2003年:David Byrneによる「God's Child (Baila Conmigo)」のライブ・ミュージックビデオでセレナをフィーチャーした編集が公開された(ライブ映像やアーカイブ映像を使用)。
  • 2005年(セレナ没後10周年):セレナの弟のバンドKumbia Kingsが「Baila Esta Cumbia」のリミックスビデオを公開。追悼や記念の意味合いを持つリリースで、当該映像ではリミックス曲に合わせた新たな編集が行われた。

映像作品・ライブアルバム(ビデオフォーマット)の概要

セレナは単発のミュージックビデオだけでなく、ライブ映像やコンピレーション的なビデオ作品も多数リリースしている。たとえばTelemundoの番組用に編集されたライブ映像やホームビデオを多用したプロモーション用ビデオ、追悼・トリビュート映像、ボックスセットのプロモーション映像などがある。これらの映像作品は、セレナの舞台での存在感や私的な側面(ホームビデオや舞台裏)を伝える役割を果たしている。

補足・評価

上記は主要なミュージックビデオとポストヒューマスの関連映像を年順・撮影地などを含めて整理したものである。多くのビデオがライブ映像やアーカイブ映像を活用しており、とくに1995年前後の作品はセレナの活動の集大成かつ遺作的な意味合いが強い。加えて、その後のトリビュート映像やリミックスはファンや関係者による記念リリースとして制作され、セレナの映像遺産を今に伝えている。