Basso continuo(バッソ・コンティニュオ)は、バロック時代に用いられた伴奏法のひとつ。意味は「連続した低音」。
通奏低音は、鍵盤楽器やリュートなどの弦楽器に、チェロ、ヴィオローネ、ファゴットなどの低音楽器を加えて和音の伴奏をする楽器で、単に「通奏低音」と呼ばれることもある。鍵盤楽器は、通常はチェンバロですが、オルガンや小型のポルタティブ楽器などでもよいでしょう。
通常、鍵盤奏者のためにすべての音符を書き出すことはありませんでした。作曲家は通常、左手で演奏され、他の低音楽器で二重に演奏されるベースラインを書きます。作曲家は、和音がどうあるべきか(どの和音が演奏されるべきか)を、楽譜の下に数字で書いて示します。
通奏低音の目的と役割
通奏低音の主な役割は、和声の基礎を支え、メロディーや声部の進行を安定させることです。特にオペラ、教会音楽、室内楽、ソナタ、カンタータなど、バロック時代のさまざまなジャンルで中核的な伴奏法として使用されました。低音が継続的に提示されることで、上声部(ソプラノや独奏楽器)の和声的な枠組みと時間的な統一が生まれます。
典型的な編成
- 和声担当(コードを充填): チェンバロ、オルガン、テオルボやリュートなどの通奏低音楽器。これらはベースラインに対して和音を即興的に補う役割を持ちます。
- 低音線を担当: チェロ、ヴィオローネ、コントラバス、ファゴットなどがベースラインを二重奏したり強調したりします。
- 組み合わせ: 通常は鍵盤(またはリュート系)+低音楽器1〜2本という編成が多いですが、宗教音楽ではオルガン単独の場合もありますし、大編成の教会では複数の低音楽器と鍵盤が同時に用いられます。
記譜法:数字記譜(フィギュアード・ベース)
通奏低音には「数字記譜(フィギュアード・ベース)」が使われます。ベース音の下や上に数字や記号を書いて、どの音程(和音の構成音)を加えるべきかを示します。たとえば:
- 「5−3」は基本位置(ルートポジション)を示すことが多い
- 「6」は第1転回形(第1転回)を示す
- ♯や♭が添えられるとその音の半音変化を指示する
ただし作曲家や地域、時代によって約束事に差があり、熟練の通奏奏者は部分的な数字だけで和声を判断し、演奏時に即興的に和音を「充填(realize)」しました。
演奏実践(実際の弾き方と即興)
通奏奏者には単に記譜をなぞるだけでなく、以下の技能が要求されました:
- フィギュアード・ベースから的確に和声を判断して即興的に和音を付ける能力
- 声部のバランスをとり、上声部を邪魔しない伴奏法(音量・リズムの調整)
- 転回形や経過和音を用いて滑らかな声部進行を作ること
- 装飾やアルペジオ、分散和音などを状況に応じて加える造形力
特にバロック時代の奏者は和声感覚と即興力が重要視され、教育でも通奏低音の弾き方が重視されました。
歴史的変遷と近代の扱い
通奏低音はバロック音楽の基本技法でしたが、古典派以降、作曲法の変化(より厳密に書き下ろされる和声、ピアノの普及など)により重要性は次第に低下しました。しかし、歴史的演奏(Historically Informed Performance)運動の台頭により、現代でもバロック作品を演奏する際には通奏低音の技術と編成が広く復活・再評価されています。
現代の演奏・楽譜についての注意点
- 現代版の楽譜では通奏低音が「通奏低音譜(ベース+数字)」「通奏低音縮約(continuo reduction)」などで示されることが多く、演奏者はそれを基に和声を補っていきます。
- ピッチやテンポ、楽器の選択は史実に基づく決定(ピッチ=A=415Hzか440Hzなど)や演奏空間によって大きく変わります。歴史的楽器を用いるかモダン楽器で代用するかで音色やバランスが変わります。
- 現代のアンサンブルでは、編成や奏法を楽曲や演奏コンセプトに合わせて柔軟に決めることが重要です。
まとめ(ポイント)
- 通奏低音はバロック音楽の和声的基盤を担う伴奏法である。
- 鍵盤やリュート等が和声(コード)を担当し、チェロやヴィオローネ、ファゴット等が低音線を支えるのが一般的。
- 数字記譜(フィギュアード・ベース)を元に奏者が即興で和音を充填する技術が重要。
- 古典派以降は減少したが、現在の歴史的演奏実践では復活・重視されている。

