ボーイング720は、ジェット旅客機で、ナローボディの短/中距離向け4発機として1950年代末に登場しました。設計はボーイング社が行い、基本的には707をベースにしているものの、機体を短縮・軽量化し、航続距離や最大搭載量を抑えた点が特徴です。胴体は707より短く、翼や脚まわりなども用途に合わせて改良されており、その結果、より短い滑走路での運用や中距離路線での効率的な運航が可能になりました。

開発の背景と歴史

1950年代、ボーイングは707で長距離路線をカバーしていましたが、より短距離・中距離の路線向けに、小型で軽量な機体需要が高まっていました。こうした市場ニーズに応えるため、既存設計を流用してコストを抑えつつ専用機能を持たせたのがボーイング720です。試作機の初飛行は1959年11月で、1960年7月に航空会社が運航を開始しました。

バリエーションとエンジン

ボーイング720には主に2つのバージョンがあります。

  • 初期型(720):プラット&ホイットニー製のJT3Cターボジェットエンジンを搭載。1960年に商業運航を開始しました。
  • 720B:JT3Dターボファン(プラット&ホイットニー製)に換装した改良型で、燃費と巡航性能が向上。1961年に実用化され、多くの720がこの仕様に改修されました。

設計上の特徴

主な特徴をわかりやすくまとめると次の通りです。

  • 707の設計をベースに胴体を短縮し、機体重量を軽くして中距離向けに最適化。
  • 4発エンジン配置による冗長性と、当時の空港インフラへの適合性。
  • 720Bでのターボファン化により燃費が改善され、運航コストが低下。
  • 機体共通性により開発費用が抑えられ、ボーイングにとって採算の取れるモデルとなった。

運用・後継機

生産数は154機と多くはありませんでしたが、主にアメリカや欧州などの航空会社で中距離路線に用いられました。後により効率的で単通路の中短距離機であるボーイング727に置き換わっていき、旅客輸送の主力からは次第に退いていきました。退役後は貨物化や研究用途、訓練機として使われた機体もありました。

仕様(代表値・おおよその目安)

  • 製造機数:154機
  • 乗員:通常は操縦士・副操縦士、キャビンクルー数は運用により異なる
  • 座席数:レイアウトにより異なるが、短中距離仕様でおおむね100〜150席程度(レイアウト次第)
  • エンジン:JT3C(初期型) / JT3D(720B)
  • 用途:短・中距離旅客輸送、貨物改修、研究・試験用途など

ボーイング720は707の派生機として効率的に開発され、中距離市場で一定の役割を果たしました。生産数は多くないものの、当時の航空輸送の過渡期を象徴する機種として歴史的な意義を持っています。