概要
文字 Џ(大文字)と џ(小文字)で書かれる Dzhe は、いくつかの南スラヴ系キリル文字アルファベットに属する文字である。これは有声破擦音 /dʒ/ を表し、英語の “jump” や “jam” に聞こえる子音に対応する。同じ言語群のラテン文字表記では、通常この音は連字 Dž で示される。
形と発音
音声学的には、Џ は単一の音素 /dʒ/ に対応する。セルボ・クロアチア語で用いられるガイ式正書法におけるラテン文字の対応形は、2文字の連字 Dž である。この音を含む語の例として、セルビア語の「ポケット」を表す џеп、「ジャム」を表す џем、また џунгла(jungle)などの借用語がある。文字の Unicode コードポイントは U+040F(Џ)と U+045F(џ)である。
歴史と採用
この文字は、19世紀のセルビア語キリル文字改革の中で、言語改革者 ヴーク・カラジッチ によって標準化された。彼は、口語を表記する際に「1音素1文字」の原則を目指していた。その結果、Џ は、従来の正書法では省かれていたり、他の文字の組み合わせで書かれていたりした独立した音素を表すために導入された。
使用と正書法上の位置づけ
Џ は、キリル文字で書かれるセルボ・クロアチア語系の諸変種(セルビア語、モンテネグロ語、およびキリル表記を用いるボスニア語)と、マケドニア語 のキリル文字アルファベットに現れる。並べ替えの際には単独の1文字として扱われ、慣例的な配列では通常 Ч の後、Ш の前に置かれる。セルボ・クロアチア語諸言語におけるラテン文字側の対応は、ガイ式ラテン文字 の項目で Dž として扱われる。
特徴と টাইポグラフィ
- 字形: Ж や Ч など近い形のキリル文字とは異なる独特の形を持ち、印刷体と手書きの筆記体ではそれぞれ用いられる形がある。
- 符号化: 計算機処理や組版で個別の文字として扱えるよう、専用の Unicode コードポイントが割り当てられている。
- 翻字: 国際的な転写体系では dz や dzh と表されることがあるが、これを母語として用いる言語では Dž が標準である。
注目点
Џ は単一の音素に対応するため、文字と音の対応を厳密に保つ言語では、綴りや配列のうえで1単位として扱われる。一方、ラテン文字を使う言語では同じ音を2つの文字で表すことがあり、その場合はアルファベット順や異言語間の正書法に影響することがある。改革やこの文字を用いる正書法については、ヴーク・カラジッチ、セルボ・クロアチア語、マケドニア語 に関する資料も参照されたい。