概要
省略記号(ellipsis)は、伝統的には3つの点からなる記号で、省略、文末の余韻、会話の間、あるいは未完の考えを示します。語源はギリシャ語の ἔλλειψις で、「省略」や「不足」を意味します。組版上の記号としては、3つの独立したピリオドとは区別して扱われることが多く、多くの言語やスタイルガイドでは、専用の省略記号グリフと3つの句点を別物として区別します。
形と組版
印刷された文章では、省略記号は互いに近い3点(…)として現れることもあれば、細い空きを挟んだ3つの点として示されることもあります。フォントによっては省略記号専用の単一文字を収録しているものがあり、別のフォントでは3つのピリオドで代用します。スペースの扱いはスタイルマニュアルによって異なり、前にスペースを置かず後ろに1つ空ける方式を勧めるものもあれば、点と点のあいだに空きを入れるものもあります。くだけた場面では「dot-dot-dot」と書かれることもあります。
散文と会話での一般的な用法
書き手は、省略記号を使っていくつかの関連した効果を表します。たとえば次のような使い方です。
- 思考が途中で途切れること: 「I thought we might...」
- ためらいや気まずさを伝える間
- 明示せずに含意を残すための修辞的・劇的な空白
省略記号は文の調子を変え、断定をやわらげたり、謎めいた印象を与えたり、会話で中断された発話を表したりします。多用すると意味が曖昧になりやすいため、控えめに使うことがしばしば勧められます。
引用と編集での省略
長い文章を引用するとき、編集者は省略記号を用いて、どの語句が削除されたかを示します。これにより、原文の意味を保ちながら文章を短くできます。編集上のスタイルによって、省略記号の前後に置く空白や角括弧の扱いは異なります。編集による省略を示すため、角括弧の中に省略記号を置くことを求める雑誌もあります。各種スタイル体系での用法については、引用と編集の慣例を参照してください。
数学とコンピューティングでの変種
数学や技術文書では、省略記号は、ある規則的な並びや無限に続く列の継続を示します。一般的な変種には、横省略記号(…)や、行・列の文脈で使われる中央揃えの形(⋯)があります。さらに、縦(⋮)や斜め(⋱)の省略記号は、行列や表の中で要素が続くことを示します。プログラミング言語やコマンドラインツールでは、3つの点またはそれに近いトークンが演算子やプレースホルダーとして使われることがありますが、慣例は言語ごとに異なります。句読点や記号の一般的な概説については、数学記法と句読点の資料を参照してください。
スタイル、明瞭さ、主な違い
実用上は、明瞭さが重要です。省略記号は必要なときだけ使い、省略が意味をゆがめないようにし、利用するスタイルガイドのスペース規則に従います。注意したい違いとして、省略記号とエムダッシュ(—)の差があります。エムダッシュは別種の中断や区切りを示します。また、1つの省略記号グリフと、3つのピリオドを連続入力したもののあいだにも、組版上の違いがあります。歴史的には、この記号は何世紀にもわたり、写本や印刷書の中で、修辞と編集の両方に役立つ道具として用いられてきました。