アンセム(教会賛歌)とは|定義・モテットとの違い・歴史と主要作曲家

アンセム(教会賛歌)とは、聖公会の礼拝で聖歌隊が歌うために書かれた宗教歌曲です。アンセムとモテットの主な違いは、アンセムが通常英語の文語テキストで歌われる点にあります。多くのアンセムはオルガンを伴奏に用いますが、時代や形式によっては小編成の楽器合奏や通奏低音が用いられることもあります。

「アンセム」という言葉は「祝賀の歌」や「賛歌」を意味するようになり、礼拝や儀式で歌われる特定の宗教曲を指すようになりました。

歴史的背景

ヘンリー8世がローマ法王と対立して英国国教会(聖公会)を成立させて以降、教会礼拝で使う英語テキストの音楽、つまりアンセムの作曲が奨励されました。歌詞はしばしば聖書から来ていますが、詩篇や典礼文、宗教的な詩歌なども素材として用いられます。史料には1502年に作曲家のフェールファックスがアンセムを作曲して20シリングの報酬を得ていた記録が残っており、アンセム作曲の早い段階からの実践がうかがえます。宗教改革の後、当初はモテットに似た様式で英語テキストの作品が作られましたが、やがて大陸のモテットとは異なる英国固有の発展をとげます。

形式と演奏法

アンセムは大きく二つの形式に分けられます。

  • フル・アンセム(full anthem):聖歌隊全員が通して歌う形式。合唱のみで構成されるものが多く、対位法的または同時進行的なテクスチャーを持つ作品が多いです。
  • ヴァース・アンセム(verse anthem):いくつかの節(verse)をソリストが歌い、その合間や結びに聖歌隊の合唱が挿入される形式。ソリストの独唱や小編成の器楽伴奏(オブリガート)を含むことが多く、劇的な対比が特徴です。

伴奏については、伝統的にオルガンが主要な役割を担いますが、17世紀以降はチェンバロや弦楽器との合奏を伴うヴァース・アンセムも増えました。演奏の現場では、大聖堂や教区教会の音楽監督(あるいはオルガニスト)がレパートリーの選択と作曲・編曲を担ってきました。

音楽的特徴

アンセムはしばしば以下の要素を持ちます:

  • 宗教的・礼拝的なテキストに基づく語りかけるような表現。
  • 合唱と独唱(あるいは小編成器楽)のコントラストを活かした構成。
  • 合唱歌詞の明瞭さを重視するためのテクスチャー(和声的な部分と対位法的な部分の使い分け)。
  • 礼拝の時間や典礼の性格に応じた長短さと様式の選択。

主要な作曲家とその影響

大聖堂や大規模な教会の音楽監督は、伝統的に多くのアンセムを書き残してきました。以下は歴史的に影響力のある作曲家たちです(代表的な世代を含む):

トーマス・タリス (1505-1585) ウィリアム・バード (1543-1623) オーランド・ギボンズ (1583-1625) ヘンリー・パーセル (1659-1695) ジョージ・フリデリック・ヘンデル (1685-1759) ウィリアム・ボイス (1710-1779) サミュエル・セバスチャン・ウェズリー (1810-1876) エドワード・ベアスタウ (1874-1946) ウィリアム・H.ハリス (1883-1973) ハーバート・ハウエルズ (1892-1983) ウィリアム・マティアス (1934-1992) ジョン・タヴナー (1944-2013) ジョン・ラッター (b.1945))

これらの作曲家はそれぞれの時代様式の中でアンセムを発展させ、礼拝音楽としての用途だけでなく、コンサートレパートリーとしても重要な作品を残しています。たとえば、バードやタリスはルネサンス期の対位法的美を、パーセルやヘンデルはバロック的な表現と器楽の活用を、20世紀以降の作曲家は新しい和声語法や現代的なテクスチャーをアンセムの中に取り入れました。

現代の状況と受容

現在でもアンセムは英国を中心に礼拝音楽の中心的なジャンルの一つです。教会礼拝だけでなく、合唱コンサートや録音で演奏される機会も多く、歴史的なレパートリーの演奏・復興とともに、現代作曲家による新作アンセムの委嘱も続いています。演奏にあたっては、テキストの意味を明確に伝える発音や表現、編成に応じたバランスの取り方が重視されます。

参考として、アンセムについてさらに詳しく知りたい場合は、上に挙げた作曲家や代表的な作品(各作曲家の代表的アンセム)を調べると、形式や様式の変遷がよくわかります。

質問と回答

Q:国歌とは何ですか?


A:国歌とは、英国国教会の礼拝で合唱団が歌うために書かれた曲のことです。通常、英語で歌われ、しばしばオルガンが伴奏します。アンセム」という言葉は「お祝いの歌」という意味もあり、世界の国々で採用されている愛国的な歌である場合もあります。

Q:世界で一番長い国歌の長さはどれくらいですか?


A:世界で最も長い国歌は、ギリシャの「自由への賛歌」で、158節あります。

Q: 作曲家はいつから英国国教会のために音楽を書き始めたのですか?


A: ヘンリー8世がローマ教皇と論争し、1502年頃に英国国教会を設立(スタート)した後、作曲家は英国国教会のために音楽を書き始めました。

Q:2種類のアンセムとは何ですか?


A: 時代とともに2種類のアンセムが発展しました。フルアンセムは全合唱で歌われ、ヴァースアンセムは、より長く、いくつかのヴァースをソリストが歌い、間に全合唱のためのコーラスを挟むものです。

Q:モテットとアンセムはどう違うのですか?


A:アンセムとモテットの違いは、アンセムが英語で歌われるのに対して、モテットは通常ラテン語やその他の言語で作曲されることです。

Q:アンセムの有名な作曲家は誰ですか?


A:有名な作曲家としては、フェイルファクスや、大聖堂や大きな教会の音楽監督で自作した人がいます。

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