痒み(かゆみ)とは|定義・神経メカニズム・原因と対処法を解説

痒みの定義から神経メカニズム、原因と具体的な対処法までわかりやすく解説。痛みとの違いやセルフケア、受診の目安も紹介。

著者: Leandro Alegsa

痒みラテン語pruritus)とは、掻きたいという欲求や反射を引き起こす不快な感覚のことである。痒みは単なる表面的な刺激以上のもので、皮膚や全身の状態、神経や免疫の働き、心理的要因などが関与する複合的な現象である。痒みには痛みとの類似点が多く、どちらも不快な感覚だが、引き起こす行動反応は異なる。痛みは回避(引きこもり)行動を促すのに対し、かゆみは引っ掻くという能動的な反応(掻爬反射)を誘発することが多い。痒みと痛みの神経線維はどちらも皮膚に分布しているが、これらの情報は中枢へ送られる際に同じ神経束を利用しつつも異なる経路・受容体で処理されるため、感じ方や反応が変わる。

歴史的には、痒みと痛みは互いに独立した感覚と考えられていない時期もありましたが、近年の研究で痒みには痛みと共通する点がある一方で、以下に示すような重要な違いがあることが明らかになってきました。

神経メカニズム(どのように「かゆみ」を感じるか)

  • 末梢受容器:皮膚には痒みを伝える特殊な感覚神経(プルリセプター)や、一般的な痛みを伝えるC線維・Aδ線維が存在します。痒みを起こす刺激にはヒスタミン依存性(アレルギーや蕁麻疹など)と非依存性(薬剤性、慢性疾患による痒みなど)があります。
  • 脊髄での伝達:皮膚からの刺激は脊髄後角に入って特定のニューロン(例:GRPR受容体を持つニューロンなど)を介して中枢へ伝えられます。痛みの経路と相互抑制的に関係し、痛み刺激が痒みを一時的に抑える(掻くことで痛みが生じ、痒みが和らぐ)という現象はこのためです。
  • 中枢処理:脳の視床、体性感覚野、前帯状回、島皮質などで感覚の認識・情動的評価が行われ、個人差や学習・経験により同じ刺激でも感じ方が変わります。慢性化すると中枢感作が起こり、わずかな刺激でも強い痒みを感じることがあります。

痒みの分類と主な原因

  • 皮膚疾患に伴う痒み:アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、乾燥肌(表皮のバリア障害)、蕁麻疹、疥癬、白癬(みずむし)、虫刺されなど。局所性で皮膚所見が目立つことが多い。
  • 全身疾患に伴う痒み(内科的原因):肝疾患(肝内胆汁うっ滞による掻痒)、慢性腎臓病(尿毒症性掻痒)、甲状腺疾患、糖尿病、血液疾患(例:リンパ腫、ポリシテミア)、HIV感染など。全身性で広範囲に及ぶことがある。
  • 神経因性(ニューロパチック)痒み:脊髄疾患、帯状疱疹後の痒み、脳・末梢神経障害による局所的な痒み。
  • 薬剤性痒み:抗生物質、オピオイド、降圧薬などが原因となることがある。
  • 精神因性(心因性)痒み:ストレスや不安、うつ状態など心理的要因が関与することがある。しばしば皮膚に明瞭な異常が少ない。
  • その他:高齢者の皮膚乾燥(加齢性乾燥)、環境要因(乾燥、温度変化)、アレルギー(食物、薬剤)など。

診断の進め方(医師が行う主なチェック)

  • 問診:発症時期、分布(局所か全身か)、夜間の有無、持続時間、掻くとどうなるか、既往歴(肝腎疾患、糖尿病、悪性腫瘍など)、服薬歴、家族歴、環境(職業、ペット)を確認します。
  • 皮膚の診察:紅斑、丘疹、水疱、鱗屑、苔癬化、疥癬トンネルなどの有無を観察。
  • 検査:必要に応じて血液検査(CBC、肝機能、腎機能、TSH、糖代謝)、尿検査、アレルギー検査、皮膚掻爬検査や真菌検査、場合によっては皮膚生検や画像検査を行います。
  • 重症・注意すべき所見:体重減少、発熱、リンパ節腫脹、夜間の激しい全身掻痒、皮疹を伴わない持続的全身掻痒は悪性疾患や全身疾患のサインであり、専門的精査が必要です。

一般的な対処法・治療(原因に応じて)

まずは原因をできるだけ取り除くことが基本です。以下は症状軽減に一般的に用いられる方法です。

  • スキンケア(基本):保湿剤をこまめに塗る、刺激の強い石鹸や入浴剤を避ける、熱い入浴を控える、室内を適度に加湿する。爪を短く切り、就寝時に手袋を着けるなどして掻破を防ぐ。
  • 外用治療:炎症がある場合は弱〜中等度のステロイド外用薬、ステロイドを長期使用しない部位や副作用が気になる場合はタクロリムスやピメクロリムスなどの免疫抑制外用薬も有効。局所麻酔薬やメントール含有製剤は一時的に痒みを抑えることがあります。かゆみ感覚を減らすため局所の冷却も有効です。
  • 内服薬
    • 抗ヒスタミン薬:ヒスタミンによる痒み(蕁麻疹、アレルギー)に有効。第一世代(ジフェンヒドラミンなど)は鎮静作用があるため睡眠改善に役立つが、日中の眠気に注意。第二世代は非鎮静性で長期使用に向きますが、ヒスタミン非依存性の痒みには効きにくいことがあります。
    • 神経系薬:ガバペンチン、プレガバリンはニューロパチックな痒みに効果を示すことがあります。抗うつ薬(ミルタザピン、SSRIやトリシクリック系の一部)は慢性掻痒に有効な場合があります。
    • オピオイド系の調節:慢性かつ難治性の痒みに対して、オピオイド拮抗薬(ナルトレキソン)やκオピオイド作動薬(ナルファラフィンは日本で腎性掻痒に用いられる薬剤)などが使われることがあります。
    • その他:重度の胆汁うっ滞性掻痒にはリファンピシン、胆汁酸キレート剤(コレスチラミン)が検討されることがあるなど、原因に合わせた治療が必要です。
  • 光線療法(紫外線療法):中等度〜重度の慢性痒みに対して局所最適化されたUVB(ナローバンドUVB)などが有効な場合があります。
  • 生物学的製剤・新規治療:アトピー性皮膚炎ではデュピルマブ(IL-4/IL-13経路阻害)が痒みを著名に改善します。難治性の慢性掻痒に対してはNK1受容体拮抗薬(アプレピタントなど)が検討されることがあります。
  • 感染や寄生虫に対する治療:疥癬はパーマスリン(5%)外用やイベルメクチン内服が標準的治療です。真菌感染や細菌感染が原因ならそれぞれ抗真菌薬や抗生物質を使用します。
  • 心理的・行動的対策:掻き癖をやめる行動療法、ストレス管理、良好な睡眠習慣も重要です。必要なら精神科や心理療法を併用します。

かゆみを放置するとどうなるか(合併症)

  • 掻破による皮膚のびらん・出血、二次感染(細菌性皮膚感染)
  • 慢性化して苔癬化(皮膚が厚く、かゆみが増す悪循環)
  • 睡眠障害、集中力低下、QOL(生活の質)の低下、心理的ストレスやうつ状態

日常できる予防とセルフケア

  • こまめな保湿(入浴後の保湿は特に重要)
  • 刺激の少ない洗浄剤を使用し、熱いお湯は避ける
  • 衣服は通気性の良い綿素材を選ぶ、ウールなど刺激の強いものは避ける
  • 室内の湿度管理(乾燥を防ぐ)
  • ストレス対策や規則正しい生活、十分な睡眠

受診が必要な場合(受診の目安)

  • かゆみが強く日常生活や睡眠に支障がある
  • 皮膚に広範囲の発疹やただれ、膿を伴う場合(感染の疑い)
  • 原因不明の全身性の持続するかゆみ(特に体重減少や発熱、リンパ節腫大を伴う場合)
  • 市販薬やセルフケアで改善しない場合

痒みは単なる不快感以上に生活の質を低下させる症状です。原因は多岐にわたるため、まずは問診と皮膚所見で原因を推定し、必要に応じて検査や専門的治療を行うことが重要です。早めの受診と適切なスキンケアで多くの場合改善が期待できます。

痒いところに手が届くように体を掻くシマリスZoom
痒いところに手が届くように体を掻くシマリス

因果関係

痒みは、毛の動きや皮下の細胞から化学物質(ヒスタミン)が放出されることで発生します。痒みは、生物が皮膚に付着した寄生虫を取り除くための保護作用と考えられている。

痒みの原因は以下の通りです。

  • 食中毒
  • ゼロシス。最も一般的な原因で、冬によく見られます。高齢であること、高温のシャワーやお風呂に頻繁に入ること、高温低湿の環境であることなどが関係しています。
  • 皮膚疾患乾癬湿疹日焼け水虫、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、その他多数)。ほとんどが炎症性の性質を持っています。
  • やシガラミなどの虫刺され。
  • Poison IvyやPoison OakのUrushiolなど、特定の化学物質との接触によるアレルギー反応。
  • ホジキン病
  • 黄疸ビリルビンは高濃度で皮膚を刺激する)
  • ヒスタミンの増加により全身の痒みを引き起こす可能性のある多血症
  • 疥癬またはシラミへの感染
  • 甲状腺の病気
  • 肌を刺激する可能性のあるシェービング
  • 糖尿病
  • フケ(異常に大量のフケがこの感覚と関連している)
  • 鉄欠乏性貧血
  • 寄生虫の感染
  • 精神医学
  • 薬物療法です。
    • アレルギー - (特定の化学物質に対する個人の免疫系の反応によるもの)
    • 光皮膚炎 - 太陽の光が皮膚の化学物質と反応して、刺激性の代謝物が生成される。
    • 直接(例:モルヒネなどのオピオイド)
  • 胆汁うっ滞
  • 妊娠に関連して
    • 妊娠期の痒みを伴う蕁麻疹状丘疹および斑状疱疹(PUPPP)
    • 妊娠性天疱瘡(Gestational Pemphigoid
かゆみの原因のひとつに疥癬があります。Zoom
かゆみの原因のひとつに疥癬があります。

トリートメント

様々な市販薬や処方薬のかゆみ止めがあります。植物製品の中には、抗痒剤として有効なものとそうでないものがあります。化学薬品を使わない治療法としては、冷やす、温める、ソフトな刺激を与えるなどがあります。

掻くことで単発の痒みが解消されることもあり、そのために背中掻き器のような器具が存在する。しかし、掻くことで痒みが増し、さらに皮膚にダメージを与えてしまうことも多く、「痒み・掻きむしり・痒みのサイクル」と呼ばれています。

質問と回答

Q: イッチとは何ですか?


A: 痒みとは、掻きむしりたいという欲求や反射につながる不快な感覚のことです。

Q:かゆみは痛みとどう違うのですか?


A: どちらも不快な感覚ですが、痛みは反射的な引き込みを生じさせ、かゆみは掻痒反射を引き起こします。

Q:かゆみと痛みの神経線維はどこにあるのですか?


A:かゆみと痛みの神経線維は、どちらも皮膚にあります。

Q: かゆみや痛みの情報はどのように脳に送られるのですか?


A:かゆみと痛みの情報は、同じ神経束を使った2つの異なるシステムで、中枢に送られます。

Q: 従来、かゆみと痛みは独立した感覚として捉えられてきたのでしょうか?


A:いいえ、従来はかゆみと痛みは独立した感覚とは考えられていませんでした。

Q: 最近の研究で、かゆみと痛みの関係はどうなっているのでしょうか?


A: 最近の研究で、かゆみには痛みと共通するいくつかの特徴がある一方で、重要な違いもあることが分かってきました。

Q: ラテン語で「かゆみ」とは何ですか?


A: ラテン語で痒みのことをpruritusといいます。


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