アポロ6号は、1968年4月4日に打ち上げられた宇宙飛行である。アメリカのアポロ計画の2番目のミッションであり、サターンVロケットの最後の無人試験飛行であった。また、アポロ計画における最後の無人飛行でもあった。A型ミッションであった。
このミッションは、サターンVがアポロ宇宙船(司令船・機械船と機器区)を、月への飛行に必要な速度と軌道エネルギーまで運ぶ能力を確認すること、そしてアポロ司令船のヒートシールドが地球大気圏への高速再突入に耐えられることを実証することを目的としていた。打ち上げ後、機体は予定どおり高エネルギー軌道まで投入され、その後折り返して約10時間で地球へ帰還する計画だった。
主な試験項目
- サターンVによる第1段・第2段・第3段の性能確認と段間分離運用
- 第3段(S-IVB)の再点火能力の検証(トランスルナ注入を模擬)
- 司令船(CM)のヒートシールドに対する高速再突入試験
- 搭載機器・通信・姿勢制御系の動作確認
実際の飛行では、第2段(S-II)と第3段(S-IVB)の推進系に問題が発生した。打ち上げ中および上段燃焼中に発生した激しい振動(いわゆる「ポゴ現象」)や燃料ライン関連の不具合により、S-II段で複数のJ-2エンジンが予定より早く停止したり、S-IVB段で計画どおりの推力が得られなかったりした。その結果、車両単体では月飛行に必要な速度に到達できなかった。
しかしながら、ミッション設計にはバックアップ策が組み込まれており、アポロ宇宙船のサービスモジュールにあるSMA(サービス機関推進エンジン)を用いて軌道修正と速度上乗せを行い、予定に近い高エネルギー再突入速度を実現できた。これにより、司令船ヒートシールドは高速再突入試験を行い、その耐熱性能は確認された。
この飛行の結果、NASAはサターンVを有人飛行に使用するための改修点を明確に把握した。ポゴ振動対策、燃料供給ラインおよびエンジン制御の改良、構造強化などが行われ、後続の有人ミッションへとつながった。アポロ4号に続き、ヒートシールドの再突入試験が実施されていたことも合わせて、3回目の無人試験はキャンセルされ、計画は有人飛行への移行を早める決定がなされた。
成果と評価
- 一部推進系のトラブルは発生したものの、司令船の再突入性能や多くのシステムは確認された。
- 得られたデータに基づきエンジンと推進系の改修が行われ、サターンVの信頼性向上につながった。
- これらの検証を踏まえてNASAはサターンVを有人打上げに用いることに自信を深め、以後のアポロ有人ミッション実施の判断材料となった。
アポロ6号は計画どおりの完全成功とはならなかったが、重要な試験目的を達成し、以後の有人月探査計画に不可欠な教訓と改良点を提供した歴史的な飛行であった。これによりサターンVは改良を加えられ、後の有人アポロミッションへと安全に移行していった。
補足:本稿では主要な出来事と評価を概説した。詳細な打ち上げ時刻、機体番号、各エンジンの停止時刻・原因といった技術的なデータは専門資料や公式報告書で確認されたい。



