MRC分子生物学研究所(LMB)ケンブリッジ拠点の概要・歴史とノーベル賞受賞者一覧
医学研究評議会(MRC)分子生物学研究所(LMB)は、イギリスのケンブリッジにある世界的に著名な基礎生物学・分子生物学の研究機関です。1950~60年代に起こった分子生物学の革命に深く関わり、DNAの構造やタンパク質の配列解析、タンパク質複合体やリボソームの構造、発生生物学や細胞生物学、構造生物学(クライオ電子顕微鏡法を含む)など、幅広い分野で基礎研究を推進してきました。LMBは長期的・基礎的な探究を尊重する研究文化と、グループ間の密接な共同研究で知られています。
歴史と施設
LMBは20世紀半ば以降、分子生物学の発展に重要な役割を果たしてきました。研究所は多数の先駆的な発見と技術開発を生み、世界中から研究者が集まる拠点となっています。2013年5月には、ケンブリッジ・バイオメディカル・キャンパスの元の敷地のすぐ近くに新しい建物がオープンしました(建設費は2億1,200万ポンド)。新しい建物前の道路は、1953年にDNAのらせん構造を共同で発見した1962年の共同ノーベル賞受賞者にちなんで、フランシス・クリック・アベニューと名付けられています。
ノーベル賞受賞者(LMBに関係した主な科学者)
以下は、LMBで研究を行った、あるいはLMBに深い関係がある科学者で、ノーベル賞を受賞した主な人物の一覧です(氏名・受賞年・共同受賞者、受賞理由の要約を記載)。
- フレデリック・サンガー — 1958年(タンパク質の配列決定、インスリンのアミノ酸配列)および1980年(DNA配列決定法の開発。1980年はポール・バーグ、ポール・バーグ、ウォルター・ギルバートと共有)
- ジョン・ケンドリュー — 1962年(タンパク質の立体構造の研究でマックス・ペルッツと共有。立体構造解析によりタンパク質の機能理解を進展)
- マックス・ペルッツ — 1962年(ジョン・ケンドリューと共有。ヘモグロビンなどのタンパク質立体構造研究で貢献)
- フランシス・クリック — 1962年(DNAの二重らせん構造の解明によりジム・ワトソン、モーリス・ウィルキンスと共有)
- ジム・ワトソン — 1962年(DNAの二重らせん構造の解明によりフランシス・クリック、モーリス・ウィルキンスと共有)
- アーロン・クルグ — 1982年(生体分子の構造と機能を解明する電子顕微鏡法の発展などによる受賞)
- セザール・ミルシュタイン — 1984年(モノクローナル抗体の開発を含む免疫学の基礎研究で、ジョルジュ・ケーラー、ニールス・エルネと共有)
- ジョルジュ・ケーラー — 1984年(セザール・ミルシュタイン、ニールス・エルネと共有。モノクローナル抗体の基礎を築く)
- ジョン・ウォーカー — 1997年(ATP合成酵素の機構解明によりポール・D・ボイヤー、イェンス・クリスチャン・スクーと共有)
- シドニー・ブレナー — 2002年(発生生物学・遺伝学の研究でロバート・ホーヴィッツ、ジョン・サルストンと共有)
- ロバート・ホーヴィッツ — 2002年(シドニー・ブレナー、ジョン・サルストンと共有。プログラム細胞死や発生の遺伝学的制御の解明に貢献)
- ジョン・サルストン — 2002年(シドニー・ブレナー、ロバート・ホーヴィッツと共有。モデル生物C. elegansを用いた遺伝学研究での貢献)
- VenkatramanRamakrishnan(ヴェンカトラマン・ラマクリシュナン) — 2009年(リボソームの構造と機能の解明で、トーマス・A・スタイッツ、エイダ・E・ヨナートと共有)
- リシャール・ヘンダーソン — 2017年(クライオ電子顕微鏡法(クライオEM)による生体分子の高分解能構造解析の技術的発展で、ジャック・デュボシェ、ヨアヒム・フランクと共有)
上記の人物の中には、LMBで研究員や教授として長く在籍した科学者、LMBで研究を始めた後に別の研究機関で活躍した者、あるいはLMBの出身・卒業生として世界的に知られるようになった者が含まれます。LMBはこれらの功績を通じて、生物学・医学研究の発展に大きく寄与してきました。
質問と回答
Q:医学研究評議会(MRC)の分子生物学研究所(LMB)とは何ですか?
A: MRC分子生物学研究所は、イギリス・ケンブリッジにある研究施設です。1950年代から60年代にかけて起こった分子生物学革命に関与し、幅広い活動を行う一大医学研究所である。
Q:新社屋はいつオープンしたのですか?
A:ケンブリッジ・バイオメディカル・キャンパス内にあるオリジナルの建物に隣接して建てられた、2億1200万ポンドの新しい代替施設は、2013年5月にオープンしました。
Q: DNAのらせん構造の発見には誰が関わっているのでしょうか?
A: 1953年にフランシス・クリックとジム・ワトソンがDNAのらせん構造を共同で発見しました。
Q:LMBの科学スタッフが受賞したノーベル賞の数は?
A: LMBの科学スタッフには13のノーベル賞が授与されています。
Q: LMBでの研究が評価され、ノーベル賞を受賞した研究者を教えてください。
A: LMBで行われた、あるいは開始された研究に対するノーベル賞受賞者には、フレデリック・サンガー、ジョン・ケンドリュー、マックス・ペルツ、フランシス・クリック、ジム・ワトソン、アーロン・クルグ、セザール・ミルスタイン、ジョルジュ・ケーラー、ジョン・ウォーカー、シドニー・ブレナー、ロバート・ホービッツ、ジョン・サルストン、ベンカトラマン・ラマクリシュナンおよびリチャード・ヘンダーソンなどがいます。
Q:新棟の外には、フランシス・クリックにちなんだ名前がついていますが、これは何ですか?
A:新しい建物の外の道路は、彼の名をとってフランシス・クリック通りと名付けられています。