光独立反応(暗反応・カルビン回路)とは:葉緑体での二酸化炭素から糖の合成
光独立反応(暗反応・カルビン回路):葉緑体でATP・NADPHを用い二酸化炭素から糖を合成する過程を、酵素作用と代謝経路の視点でわかりやすく解説。
植物の葉緑体では、一般に「光に直接依存しない反応」として知られる暗反応(光独立反応)が進行し、ここで二酸化炭素から 糖が合成される。これはカルビンサイクルと呼ばれる一連の反応で、光反応で作られたATPとNADPHおよび多数の酵素を利用してCO2を固定し、炭水化物を生成する。したがって「光独立(暗)反応」と呼ばれるが、光反応が作るエネルギー供給(ATP・NADPH)がなければ進行しないため、光合成全体としては光反応と密接に連動している点に注意が必要である。
反応の場所
カルビン回路は葉緑体のストロマ(葉緑体基質)で進行する。グラナ(チラコイド膜の積み重なり)は主に光反応の場であり、暗反応はストロマ側で行われる。
カルビン回路の主な段階
- 炭素固定(カルボキシル化):リブロース-1,5-ビスリン酸(RuBP)にCO2が結合し、ルビスコ(RuBisCO)によって3-ホスホグリセリン酸(3-PGA)に固定される。
- 還元段階:3-PGAはATPとNADPHを使ってグリセルアルデヒド-3-リン酸(G3P、トリオースリン酸)に還元される。このG3Pが糖やデンプンの前駆体となる。
- RuBPの再生:残りのG3PからATPを消費してRuBPを再生し、回路を継続させる。
エネルギー収支と化学量論(概算)
3分子のCO2が固定されて1分子のG3P(炭素3個)を得るために、およそ9 ATPと6 NADPHが消費される(これは系内での概算値)。したがって1 CO2当たり約3 ATPと2 NADPHが必要となる。
生成物の利用と移動
カルビン回路でできたG3Pは、植物体内でデンプン(葉内)やスクロース(根や若芽へ輸送する糖)の合成に使われる。生成された糖は葉から他部位へ転座によって運ばれ、成長や貯蔵、呼吸の燃料となる。
ルビスコと光呼吸
ルビスコは地球上で最も豊富な酵素の一つだが、CO2とO2のどちらも基質となり得る。O2を基質にすると光呼吸(フォトレスポレーション)と呼ばれる反応が起き、カルビン回路の効率が低下する。これを避けるために、C4植物やCAM植物はCO2濃縮や時間分離で効率を高める仕組みを進化させている。
「暗反応」という呼び方についての注意
「暗反応(暗)」は「光を必要としない」という意味で、必ずしも暗闇でのみ起きるわけではない。光反応で生じるATPとNADPHが存在する条件下であれば、明るいときにもカルビン回路は活発に働く。
まとめ:カルビン回路(光独立反応)は葉緑体ストロマで進むCO2の固定と糖合成の経路であり、光反応が供給するATPとNADPH、および多くの酵素を必要とする。生成された糖は植物体内で利用・貯蔵され、転座によって他の器官へ運ばれる。

カルビンサイクル
カルビンサイクル
- 炭素数5の糖(リブロース二リン酸、RuBP)が二酸化炭素と結合し、炭素数6の糖(ホスホグリセリン酸)を生成する。RuBisCOという酵素がこの反応を促進させる。
- ホスホグリセリン酸は、光依存性反応による水素原子で還元され、2分子のトリオースリン酸(それぞれ炭素原子3個を有する)を形成する。このとき、ATPが必要となる。
- 一部のトリオースリン酸は(ATPを使って)リブロース二リン酸に戻されます(このため、このサイクルは「サイクル」と呼ばれています)。
- 残った分は、ブドウ糖の生産に使われる。
カルビンサイクルの反応の総和は次のようになる。
3 CO
2+ 6 NADP + 5 H
2O + 9 ATP → グリセルアルデヒド-3-リン酸(G3P) + 2 H+ + 6 NADP ++ 9 ADP + 8 Pi (Pi = 無機リン酸) ※この場合、G3Pはグリセルアルデヒド-3-リン酸(G3P)の合成に使用されます。
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