ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(LPO)は、イギリスの主要オーケストラの一つで、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールを本拠地としている。長年にわたり、英国および国際的な音楽界で重要な役割を果たしてきた名門オーケストラである。
1932年、トーマス・ビーチャム卿によって結成され、1932年10月7日にロンドンのクイーンズホールで初演を行った。初期には、当時の副指揮者としてマルコム・サージェントらが関わり、ビーチャム自身の指揮のもとで活発な活動と録音を行った。
結成間もない1932年11月の公演には、16歳のユーディ・メニューインが出演し、エルガーのヴァイオリン協奏曲などを演奏して注目を集めた。こうした早期の共演はLPOの評判を高め、以降も世界的なソリストや指揮者と共演する機会が増えていった。
1930年代には、ビーチャムがロイヤル・オペラハウスで指揮する際に、そのオペラ公演の伴奏を務めるなど、オペラ伴奏からコンサート活動まで幅広く演奏した。ビーチャム期の録音も多数残されており、オーケストラの歴史的記録となっている。
しかし1939年、当初のスポンサーが資金提供を停止したため、LPOは自治的な運営体制へ移行し、ロンドン交響楽団のように団員自らが楽団の運営や演目を決定する形をとるようになった。
第二次世界大戦中、LPOは国内各地を回って演奏を続け、戦時下で音楽を届ける重要な存在となった。1941年5月にクイーンズホールが空爆された際には多くの楽器が被害を受けたが、一般からの寄付などで再建が進められた。
終戦後もオーケストラは演奏活動を継続し、何人もの客演指揮者を迎えつつ新しい時代へと移行していった。戦後の数十年にわたり、LPOは時代を代表する指揮者たちとともに多くの主要作品を取り上げ、録音やツアーを通じて国際的な評価を高めていった。
1950年代後半には一時的に財政面での困難に直面し、団員の給与支払いが歩合制に切り替わるなどの苦労もあったが、1958年のウィリアム・スタインバーグの首席指揮者就任などを契機に演奏水準と経営の安定化が図られた。
1964年からは夏のグラインドボーン・フェスティバル・オペラのレジデント・オーケストラとして活動するようになり、現在もこの重要なオペラ・プロジェクトに関わっている。1967年にはベルナルド・ハイティンクをはじめとする指導的指揮者が首席を務め、ハイティンクは約12年間在籍した。その後、サー・ゲオルグ・ソルティらも要職を歴任した。
オーケストラは交響曲・協奏曲の正統的レパートリーだけでなく、オペラ伴奏、現代音楽の初演、映画音楽の録音など多彩な活動を行っている。教育普及活動や地域連携にも力を入れ、国内外でのツアーや多数の録音を通じて広く知られている。
近年は、ウラジミール・ユロフスキなどの指揮者を迎えており、伝統と革新を併せ持つ演奏活動を続けている。ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団は今なお英国を代表するオーケストラの一つとして、国内外の聴衆に対して高い芸術水準の音楽を提供し続けている。