アメリカ合衆国のセカンドレディは、アメリカ合衆国副大統領の妻である。20世紀後半から21世紀初頭にかけて、副大統領夫人が公共政策の役割を担い、多くのメディアの注目を集めたことから、この名称が定着した。テネシー州のアル・ゴア副大統領の妻ティッパー・ゴアは、夫が上院議員だった頃から、映画、テレビ番組、音楽などアメリカの大衆娯楽からわいせつなものを取り除くキャンペーンを何度も行っていた。
役割と公的立場
セカンドレディという呼称は公式な憲法上の地位ではなく、あくまで慣習的・非公式な称号である。制度上の明確な職務や給料は定められていないが、実際には以下のような役割を担うことが多い。
- ホワイトハウスや副大統領公邸(Number One Observatory Circle)での公式行事や接遇の主催・支援
- 副大統領の公務に伴う同行・公演・海外訪問への随行
- 教育、軍人家族、健康、芸術など特定の社会問題に関するキャンペーンや啓発活動の推進
- 広報活動やメディア出演を通じたイメージ形成、慈善活動の支援
多くのセカンドレディは、オフィスやスタッフを通じて活動を行うが、その人員や予算は、副大統領のオフィスの枠組みに依存しており、第一線の行政権限は持たない。
歴史的な変遷と代表的な人物
初期の副大統領夫人は主に社交やレセプションの役割に留まったが、20世紀後半以降は積極的に社会問題に関与する例が増えた。前述のティッパー・ゴアのように、娯楽産業の表現規制や家庭の保護を訴えた人物もいれば、教育や軍人支援、医療分野などを主要な活動課題とした者もいる。
- ティッパー・ゴア(アル・ゴア夫人) — 音楽やメディアの内容に関する啓発活動に関与。PMRC(親の音楽監視団体)など、議論を呼ぶ運動にも関わった。
- リン・チェイニー(ディック・チェイニー夫人) — 作家・学者としての顔も持ち、背後で政治的影響力を持った人物として知られる。
- ジル・バイデン(ジョー・バイデン夫人) — 教育(特にコミュニティカレッジ)や軍人家族支援を重視し、セカンドレディ在任中も活発に公務を行った。のちにファーストレディとなった。
- カレン・ペンス(マイク・ペンス夫人) — 芸術療法などを推進し、伝統的な役割と活動を両立させた。
用語と現状
近年は副大統領に女性が就任したことにより、配偶者を指す言葉も変化している。現職の副大統領はカマラ・ハリスで、その配偶者ダグ・エモフはアメリカ史上初のセカンドジェントルマン(Second Gentleman)となった。したがって「セカンドレディ」は従来の慣習的な呼称だが、性別や時代によって呼称が変わりうることに注意が必要である。
まとめ
セカンドレディ(またはセカンドジェントルマン)は、法的な職務は持たない非公式な立場であるが、社会的影響力や公共活動を通じて重要な役割を果たしてきた。活動の内容や注目度は個々人の志向や時代背景によって大きく異なり、今後もメディアや世論によって期待される役割は変化していくと考えられる。







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