セト(Seth)—エジプト神話の砂漠と嵐の神:起源・家系・神話を解説

セト(Seth)—エジプト神話の砂漠と嵐の神の起源、家系、主要神話を図解と共に分かりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

エジプト神話では、セト(Sutekh, Setesh, Seteh, Sethとも呼ばれる)は砂漠(砂漠の嵐を含む)、雷、悪、痛み、苦しみの神であった。セトはしばしば混沌や外敵、暴風雨、そして「正秩序」を乱す力の象徴とみなされる一方で、太陽神を護る防御者としての側面も持っていた。彫刻や図像では、いわゆる「セト動物」と呼ばれる想像上の生き物(長い曲がった口吻、四角い耳、直立した尾など)で表されることが多い。

起源と名前

「セス」という言葉は、最初は「セト」と呼ばれていました。セスが崇拝されていた3,000年の間にエジプトの言語が変化したため、セトの't'は'th'と発音が似ていたため、ギリシャ人はプトレマイオス時代にセスと書きました。古代エジプト語では Sṯ (セト) と表記され、後に王名や地名と結びついて発展していきます。ギリシャ・ローマ時代には、ギリシャ神話のタイフォンと同一視されることもあり、西洋におけるセト像にも影響を与えました。

家系と関係

セトには兄のオシリスと妹のイシスとネフティス(妻でもある)の3人兄弟がいた。彼には甥のホルスもいました。ネフティスセトと結婚し、イシスはオシリスと結婚しました。セトとネフティスにはアヌビスという名の息子がいました。彼の父はゲブ、母はナットであった。

なお、太古の伝承ではアヌビスの父親がオシリスとされる変形伝承もあり、神々の家系や役割は時代や地域によって異なる伝承が残っています。

神話と役割

セトは多面的な神で、時代や神話の文脈によって「守護者」と「破壊者」の両方の側面を見せます。古い伝承では、セトは夜の航海で太陽神を守り、来世での旅の安全を担当しており、個人的に大蛇アペプを殺しましたという英雄的な役割が与えられていました。

一方、王権神話やオシリス神話では、セトは弟のオシリスをめぐる争いの悪役として語られます。後期のセトは、嫉妬からラーをファラオとして後継者にした弟のオシリスを殺害した。ホルスオシリスとイシスの息子)は最終的にセトを破り、王位を獲得しました。オシリスの死後、イシスはオシリスの遺体を探し集めて甦らせようとし、その過程でアヌビスがミイラ化と埋葬の儀式を司るようになったとされます。ホルスとセトの王位を巡る争い(「ホルスとセトの争い」)は、古代エジプトにおける正統性と王権の正当化を説明する重要な神話の一つです。

象徴・崇拝・評価

色と象徴:セトはしばしば赤(危険や混沌を連想させる色)と結びつけられます。エジプト語で「赤い土地(deshret)」は砂漠を意味し、セトの支配領域を象徴します。また、セト動物という特有の姿で表現され、王の王笏や盾にその象徴が使われることもありました。

崇拝地と歴史的地位:セトは地域的に強い崇拝基盤を持ち、特にオムボス(古代の港市)など一部の都市では高く崇拝されました。王朝や時代によってはセトの名を戴く王(例:第2王朝の一部の王名)も存在し、必ずしも一貫して「悪神」だったわけではありません。時代が下ると外国の勢力や混乱を象徴する側面が強調され、ネガティブに語られることが増えました。

外邦の女神との関係:古代エジプトは周辺文化との接触が多く、セトにはアナトやアスタルテといった近東の女神が関係づけられる場合もありました(本文でも言及されているように、セトにはアナトとアスタルテという外国人の妻もいたと伝えられます)。

まとめ

セトは単なる「悪の化身」ではなく、砂漠・嵐・外敵・混沌といった力を司る複雑で多面的な神です。時代や地域、宗教的な文脈によって英雄的な守護者として崇められたり、王権を脅かす悪役として描かれたりしました。古代エジプトの信仰と社会を理解するうえで、セトの存在は不可欠な要素となっています。

外観

セトは「セットアニマル」と呼ばれる謎の未知の生物としてよく登場します。セト・アニマルは、曲がった鼻、四角い耳、犬のような体、先の尖った尻尾、赤い目、赤い髪を持っていました。セトはこの動物を操ることができ、この動物を使って敵を殲滅していました。

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