アフロトロピックは、地球上の8つのエコゾーンのひとつです。以前はエチオピアゾーンと呼ばれていた。
サハラ砂漠以南のアフリカ、アラビア半島南部と東部、マダガスカル島、イラン南部、パキスタン南西部、インド洋西部の島々が含まれる。これらの土地のほとんどは、1億5千万年前に分裂を始めた古代南半球の超大陸ゴンドワナの一部でした。
範囲と境界
アフロトロピック(Afrotropic)は主にサハラ砂漠より南のアフリカ大陸を中心に、南アラビアやペルシア湾岸の一部、南アジア西端にかけて広がる生物地理学的領域です。北側はサハラ砂漠と地中海性植生によってパレアークティック(Palearctic)と明確に区切られますが、南西アジア側(イラン南部~パキスタン南西部)ではオリエンタル(インド・東南アジア)域との移行帯があり、境界が不明瞭な地域もあります。
地質的起源と歴史
ほとんどの地域がかつてのゴンドワナ大陸に属していたため、アフロトロピックの生物相には南半球起源の系統が強く残っています。インド洋に散在する島々(マダガスカル、モーリシャス、レユニオン、コモロ諸島、セイシェルなど)は長期の隔離により独自の進化を遂げ、特にマダガスカルは極めて高い固有性を示します。
主要な生息域(生態系)の区分
- 熱帯雨林:中央アフリカのギニア・コンゴ盆地に広がり、種多様性が非常に高い。
- サバンナ・草原帯:タンザニア、ケニア、ザンビアなどの大規模サバンナは、草食動物とそれを捕食する大型肉食獣の豊富な生息地。
- 乾燥地・半乾燥地:サヘルやホーン・オブ・アフリカには乾燥に適応した植生と動物群が見られる。
- 砂漠:ナミブ砂漠やカラハリ砂漠など、独特の適応をした生物が存在。
- 山地帯:アフリカ東部の高山(エチオピア高原、ルウェンゾリ、ケニア山、キリマンジャロ等)は独自の高山生態系を有する。
- マダガスカルとインド洋島嶼:極めて特殊な固有種群(例:キツネザル類や独特な植物相)が多い。
- 南アフリカの特異域(カープ地帯のフェンボスなど):地球上でも屈指の植物多様性と高い固有率を示す。
生物相の特徴と代表的な種
アフロトロピックは動植物ともに高い多様性と地域差を示します。代表的な動物には、ゾウ、キリン、シマウマ、アンテロープ類、チーターやライオンなどの大型肉食獣、ゴリラやチンパンジーといった霊長類が含まれます。マダガスカルではキツネザル類やフォッサなど独自の脊椎動物群が発達しています。
植物ではバオバブやアカシア、熱帯雨林の大型樹木からフェンボスに代表される低木群落まで多彩です。多くの植物群は乾季への適応(耐乾性、落葉、貯水構造など)や火災適応を示します。
固有性と進化の特徴
- 島嶼部(特にマダガスカル)は高度な固有種率を示し、新生代初期からの隔離進化の結果、独自の系統が発達した。
- 大陸部でも熱帯雨林とサバンナの分布歴や氷期・間氷期による分断・再連結が、種分化を促した。
- ゴンドワナ起源の系統と、アジアからの系統が混在するため、系統学的に興味深いグループが多い。
脅威と保全
急速な人口増加、農地への転用、違法伐採、密猟、外来種の侵入、気候変動による生息地変化などが主要な脅威です。特にマダガスカルやギニア湾沿岸森林、カープ地帯は保全の優先地域(ホットスポット)とされています。
保全対策としては、国立公園や保護区の設定、地域コミュニティとの協働、再植林や生息地回復、違法取引対策、気候変動適応策の導入などが進められています。国際的な保護協定や研究、エコツーリズムも重要な役割を果たします。
まとめ
アフロトロピック(旧エチオピア区)は、ゴンドワナ由来の歴史的背景と多様な現在の環境が重なり合う、生物多様性に富んだ領域です。地域ごとに異なる生態系と高い固有性が特徴で、同時に人間活動による影響を強く受けているため、保全と持続可能な利用が重要です。






