概要

Mozilla Public License(MPL)は、協調的な開発と商用での再利用の両立を目的として作られた自由なオープンソースソフトウェア・ライセンスである。Mozilla Foundationが管理しており、一般に弱いコピーレフト型のライセンスと説明される。これは、寛容なライセンスよりは厳しく、しかしGNU General Public Licenseほど制約が強くない中間的な立場をとる。こうした性質により、プロジェクトや企業がオープンソースコードと独自コードを組み合わせつつ、作品全体を単一のコピーレフト規約へ移行させずに済む点が魅力とされる。

主な特徴

MPLのコピーレフトは、結合されたプログラム全体ではなく、ファイルごとに適用される。実際には、MPLの下にあるファイルに加えられた変更は同じライセンスで配布しなければならないが、同じプロジェクト内の他のファイルは別のライセンスで許諾できる。たとえば独自ライセンスでもよい。ただし、MPL対象ファイルはMPLの条件で引き続き利用可能でなければならない。

  • ファイル単位のコピーレフト: もともとMPLの対象であるソースファイルのみ、変更時にMPLのまま維持する。
  • 互換性と再ライセンス: 明示的な互換条項により、多くの場合、MPLコードは再ライセンスされたり、GPLコードと組み合わせたりできる。
  • 特許と貢献条件: 現行のMPLでは、特許許諾や貢献者の義務を明確にするための条項が設けられている。

歴史と改訂

MPLは、オープンソースの実務が商用Web開発やブラウザー開発の中で発展しつつあった1990年代後半に最初に作成された。初期の起草はNetscapeに関係する弁護士によるものとされ、その後の管理はMozilla Foundationに移った。ライセンスは1.1版で小規模な更新を受け、2.0版ではより大きな改訂が行われ、文言が簡潔になり、ほかの広く使われるライセンスとの互換性も改善された。

MPL 1.1の派生物や適応版は他のライセンスにも影響を与えた。たとえばSun Microsystemsは、Common Development and Distribution Licenseを作成する際の基礎としてこれを用いた。また、このライセンスは、オープンライセンスを扱う主要な標準化団体によっても認知・承認されている。

用途と代表例

MPLは、Firefox、Thunderbird、およびさまざまなその他のMozillaプロジェクトを含む、Mozillaの主要プロジェクトの多くで採用されているライセンスである。Mozilla以外でも採用例はあり、いくつかのベンダー向けツールキットやオフィススイートでは、部品にMPLが使われたことがある。たとえばLibreOfficeの一部は、LGPLライセンスと併用しながらMPL条件で配布された。商用製品がMPLコードを取り込み、さらに独自モジュールと組み合わせた例もある。

開発者と組織への実務上の影響

MPLを選ぶと、配布時に、MPL対象ファイルのソースコードをコンパイル済みまたは実行可能な形で配布する場合、そのソースも公開できる状態にする必要がある。ただしコピーレフトはファイル単位に適用されるため、MPL対象ファイルを変更しない限り、独自モジュールは同じ大きな作品の中で共存できる。この実務的な考え方は、混在型のソース環境でのライセンス上の摩擦を減らしつつ、一定の相互提供の性質を保つ。

互換性、承認、由来

MPLは、オープンソースと自由ソフトウェアの双方のコミュニティで正式に認知されており、公開性と自由度を審査する組織によって承認されてきた。その由来はブラウザー黎明期の法務作業にさかのぼり、ガバナンスや文言は、クロスライセンスの互換性、貢献者の権利、特許の明確化といった現代的な課題に対応する形で発展した。MPLの歩みは、法的な設計と、厳格な寛容型ライセンスと強い相互提供型ライセンスのあいだの実際的な折衷の両面を持つ。

要約と区別

要するに、MPLは実用的な中間路線を提供する。対象ファイルへの変更は共有を求める一方で、より広いアプリケーションコードには、必要に応じてGPLや独自条件など別のライセンスを適用できる。主要なオープンソース製品に採用され、他のライセンスにも影響を与えてきたことから、協力と柔軟性の両方を求めるプロジェクトで広く使われ続けている。歴史的背景としては、その起源はNetscape時代に行われたNetscapeの弁護士による法務作業に結びついており、またその条件はFree Software Foundationの自由ソフトウェア基準でも受け入れ可能なものとして認められている。

補足: プロジェクトにMPLを適用する前には、必ずライセンス本文と権威ある解説を確認すること。互換性や義務は、版やソフトウェアの組み合わせ方・配布方法によって異なりうる。