NYO(ナショナル・ユース・オーケストラ)英国の若手オーケストラ解説:歴史・入団・公演
NYO(ナショナル・ユース・オーケストラ)英国の若手育成と歴史、入団オーディションや名門公演・指揮者情報までを詳しく解説。活動日程も掲載。
ナショナル・ユース・オーケストラ・オブ・グレートブリテン(NYO)は、イギリスの若手音楽家のためのオーケストラです。メンバーは原則として13歳から19歳までで、約150人の奏者を擁する非常に大規模なオーケストラとして知られています。NYOに参加を希望する若者は、自分の楽器を上手に演奏できることが求められ、一般に最低でもグレード8のディスティンクション相当の技術と、読譜力に優れていることが必要とされます。オーディションに合格しなければメンバーにはなれず、これらのオーディションは通常秋にイギリス各地で実施されます。
歴史と役割
ナショナル・ユース・オーケストラは、1947年にルース・レールトン(後のデム・ルース・キング)によって創設されました。以来、若手演奏家の育成と英国の音楽文化の活性化に重要な役割を果たしてきました。多くの卒業生がプロのオーケストラや演奏活動の第一線で活躍しており、演奏・教育・コミュニティ活動を通じて次世代の演奏家を育てています。組織としては、NYO本体のほか、若年層向けの派生プログラム(例:NYO2やNYO Inspire といった中間・入門的な編成)なども運営し、段階的な育成の機会を提供しています。
年間スケジュールと公演
オーケストラは年に3回、正月、イースター、夏休みに合わせて約2週間の集中コースを行い、学校が休みの期間に合同で合宿・リハーサルを行います。各コースの最終日には、ロンドンのバービカン・ホール、バーミンガムのシンフォニー・ホール、マンチェスターのブリッジウォーター・ホール、カーディフのセント・デイヴィッズ・ホール、グラスゴーのグラスゴー・ロイヤル・コンサート・ホールなど、国内の主要ホールで1〜2回の公演を行います。毎年、ロイヤル・アルバート・ホールのプロムナード・コンサート(BBCプロムス)に出演することも恒例です。過去には2007年にプロムスでショスタコーヴィチのレニングラード交響曲を演奏した他、同年6月にグラストンベリー音楽祭での演奏、2008年4月にはバーミンガム・シンフォニーホールでストラヴィンスキーの「春の儀式」を演奏、8月にはスネイプ・モールディングとアントニオ・パッパーノ指揮のBBCプロムスで、ピアニストのボリス・ベレゾフスキーをソリストに迎えて演奏するなど、多彩な舞台経験を積んでいます。
教育プログラムと活動内容
コース期間中はフルオーケストラのリハーサルに加え、室内楽を含む小編成での学びや、個人・セクション別のマスタークラス、楽曲研究、創作(作曲)クラスなどが行われます。有名な音楽家や教育者が講師として招かれ、実践的な指導を行います。記事内でも触れられているように、若い作曲家には作曲家のポール・パターソンによる指導が行われることもあります。さらに、世界の音楽文化を探求するワークショップや、録音・放送を前提とした実践的な機会、プロの指揮者やソリストとの共演機会も提供されます。
指導陣と指揮者
コンサートやコースは必ず著名な指揮者が関与し、通常はコースの最後の数日間にゲスト指揮者が来てリハーサルを指導します。これにより、若い演奏家は一流の現場感覚やリハーサルの進め方、表現の幅を直接学ぶことができます。また、外部のソリストや客演指揮者との共演を通じて、プロの現場で求められる技能を経験的に習得します。
オーディションと応募方法
NYOへの応募・オーディションは毎年秋に行われるのが通例です。審査では、指定の準備曲の演奏に加えて、オーケストラでよく求められるエクスパート(オーケストラ抜粋)や視奏(サイ ト・リーディング)、短い面接などが課されることが一般的です。応募に際しては年齢(13〜19歳)や技術基準(上記のような演奏能力)を満たしている必要があります。最新の募集要項・締切や具体的な課題曲、提出方法(録音による予選の有無など)や地域別実施地は毎年変わるため、必ず公式サイトで案内を確認してください。経済的な支援を必要とする応募者のために、奨学金やバースリーファンド(授業料・滞在費の補助)が用意される場合もあります。
アウトリーチと公開プログラム
NYOは単なる演奏団体にとどまらず、地域や学校との協働、若年層向けのオープンデー、ワークショップ、地域公演などのアウトリーチ活動も積極的に行っています。記事末にもある通り、NYOでは少し低学年の子供たちが音楽を体験・探求できるオープンデーを開催し、次世代の興味喚起や入門機会を提供しています。
まとめると、NYO(ナショナル・ユース・オーケストラ・オブ・グレートブリテン)は、技術的・芸術的に高い水準を求める若手音楽家のための総合的な育成機関であり、集中合宿・一流の指導・国内主要ホールや国際的な舞台での公演を通して、多くの若い才能を育て続けています。参加を検討する際は、年度ごとのオーディション情報や募集要項、支援制度を公式情報で確認してください。
質問と回答
Q:ナショナル・ユース・オーケストラ・オブ・グレートブリテンとは何ですか?
A: ナショナル・ユース・オーケストラ・オブ・グレートブリテン(NYO)は、イギリスの若い音楽家のためのオーケストラです。13歳から19歳のメンバーで構成され、約150名の奏者がいます。
Q: NYOに参加するためには、どんな資格が必要ですか?
A: NYOに入団するためには、自分の楽器を上手に演奏できること、少なくともグレード8のディスティンクション・スタンダードであること、そして、素早く習得できるようなサイトリーディングが得意であることが必要です。また、オーディションに合格する必要があります。
Q: ナショナル・ユース・オーケストラは誰が始めたのですか?
A: ナショナル・ユース・オーケストラは、1947年にルース・レイルトン(後のルース・キング女史)により創設されました。現在のディレクターはサラ・アレキサンダーです。
Q: オーケストラはどこで活動しているのですか?
A: オーケストラは年に3回、新年、復活祭、夏の学校休暇中に約2週間開催されます。その間にリハーサルを行い、ロンドンのバービカンホール、バーミンガムのシンフォニーホール、マンチェスターのブリッジウォーターホール、カーディフのセントデイヴィッズホール、グラスゴーのロイヤルコンサートホールなど、イギリスの有名なコンサートホールで1~2回のコンサートを行います。毎年、ロイヤル・アルバート・ホールでプロムナード・コンサートを開催しています。
Q: コンサートは誰が指揮するのですか?
A:毎回、有名な指揮者の方に来ていただき、公演の数日前からリハーサルを行っています。
Q:その他、どのような活動をしているのですか?
A: 講習会では、有名な音楽家の先生や、ポール・パターソンの指導のもとで作曲を学ぶ若い作曲家の先生から教わり、一緒に室内楽を演奏する時間も設けています。また、音楽をもっと知りたいと考えている少し小さな子どもたちのために、オープンデイを通して異文化の音楽を探求することもあります。
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