概要
多面体とは、三次元空間にある立体で、その表面が平らな多角形の面からなり、それらが直線の辺に沿ってつながり、頂点で交わるものをいう。通常は、面・辺・頂点の数と各面の形によって説明される。幾何学的図形という語は、多面体が幾何学で扱う対象であることを示し、平らな部分からできた三次元、すなわち立体の例であることを強調している。
要素と記法
多面体の基本要素は、面(それぞれ多角形)、辺(2つの面が交わる線分)、頂点(辺が集まる点)である。各面は多角形の面で、ふつうは単純で平らである。多くの多面体では、V−E+F=2 という基本関係が成り立つ。ここで V、E、F はそれぞれ頂点数、辺数、面数を表す。この式は、位相的に球面と同値な多面体、つまり単純で自己交差しない立体に対して成り立つ。
分類と代表的な例
多面体はいくつかの重なり合う観点から分類される。基本的な区別の一つは凸と凹である。凸多面体は任意の2点を結ぶ線分全体を内部に含むが、凹多面体はそうではない。ほかに重要な分類として次がある。
- 正多面体(プラトン立体):すべての面とすべての頂点が同じである、高い対称性をもつ5つの形。5つは正四面体、立方体(六面体)、正八面体、正十二面体、正二十面体である。詳しくはプラトン立体を参照。
- アルキメデス立体:正多角形の面を2種類以上もち、頂点はすべて同じである半正多面体。
- カタラン立体:アルキメデス立体の双対で、一般に面推移的だが頂点推移的ではない。
- ジョンソン立体や、その他の凸だが一様でない多面体。
- 星形多面体や自己交差多面体。たとえばケプラー=ポアンス立体は、非凸の形に正多面体性を拡張した例である。
歴史と理論
多面体は、その数学的な美しさと対称性のため、古代から研究されてきた。古典ギリシャの数学者は5つの正多面体を分類し、その後の位相幾何学と組合せ幾何学の研究によって、オイラー標数や双対性などの一般的性質が明らかになった。双対性とは、すべての凸多面体に、面と頂点が入れ替わった双対があるという考えである。シュレーフリ記号 {p,q} のような記法は、正則タイル張りや正多面体を簡潔に表し、各面が p 角形で、各頂点に q 枚の面が集まることを示す。
用途と例
多面体は科学、工学、芸術のさまざまな分野に現れる。建築家は、ジオデシック・ドームや複雑な屋根構造に多面体的な骨組みを用いる。化学では、分子やかご状構造(たとえばフラーレン)を多面体グラフでモデル化する。コンピュータグラフィックスや3Dモデリングでは、多角形の面の集合として表面を表現する。結晶学や材料科学では、格子中の多面体的配位を分析する。サイコロのような身近な物も、実用目的で用いられる多面体の簡単な例である。
注目すべき点と区別
数学者の形式的定義にはいくつかの違いがある。凸多面体に限る場合や、球面と同相な対象に限る場合もあれば、非凸や自己交差する表面まで認める立場もある。実際の説明では、面が平らな多角形であり、立体に明確な内部があることが求められることが多い。多面体は展開図、つまり平面上の面の連結配置として開くことができ、切断、星形化、双対化、付加などの操作によって関連する立体が得られる。幾何学用語や例についてさらに知りたい場合は、上のリンクや幾何学入門書を参照するとよい。