肺水腫
肺水腫(イギリス英語ではpulmonary oedema)とは、肺の中の液体のことです(「pulmonary」は「肺」、「edema」は「腫れ」「液体」という意味です)。通常、人が呼吸をすると、肺は空気で満たされます。肺の中の肺胞から、酸素が血液に入ります。そして、血液は全身に酸素を運びます。体のあらゆる部分が生きていくために酸素を必要とするのです。
肺に水が溜まると(肺水腫)、肺の中に空気が入るための十分なスペースがなくなります。その人は、空気をたくさん吸い込むことができなくなります。つまり、血液に入る酸素が少なくなり、体に必要な酸素が行き渡らなくなるのです。
ヒトの肺の図
原因
肺水腫の最も一般的な原因は、心臓の左側にある心不全です。心臓の左側は、全身に血液を送り出すことになっています。もし、左側の心臓が弱くてこれができないと、血液が肺に逆流します。これを心原性肺水腫といいます。(心原性」とは「心臓に起因する」という意味です)。
その他、心原性でない肺水腫の原因としては、以下のようなものがあります。
症状
肺水腫の症状としては、以下のようなものがあります。
- 呼吸困難
- 起座呼吸(横になると呼吸が一番苦しい)
- 発作性夜間呼吸困難(夜寝ているときに呼吸が苦しくなって目が覚めることがあること)
- ピンク色の泡のような痰
- 医療従事者が聴診器で呼吸音を聴くと、ラ音が聞こえます
フラッシュ肺水腫
フラッシュ肺水腫は緊急事態です。非常に早く発症する肺水腫です。通常、肺水腫は発症するまでに数時間かかります。しかし、フラッシュ肺水腫の最悪のケースでは、数分で肺が完全に液体で満たされることがあります。フラッシュ肺水腫は、肺水腫の人を動かしたり、寝かせたりすることによっても起こります。
処理方法
原因が何であれ、肺水腫の治療には
- 酸素を供給する
- 背筋を伸ばして座る(そうすることで呼吸が楽になる)
- 必要に応じて、肺に空気を送り込む(これを換気といいます)。
- 体内の余分な水分を排出する利尿薬
- ニトログリセリン(「ニトロ」)のような薬で、肺に入る液体による圧力を下げます。ニトログリセリンはまた、肺の血管を広げることができるので、より多くの液体がそこに収まります;これは、肺に入る空気のために余分なスペースを解放することができます。
その他の治療法としては、肺水腫の原因に着目した治療があります。例えば、腎不全の人が塩分や水分を取りすぎた場合、余分な水分や塩分を取り除くために透析を行うことができます。