概要

Streptococcus pneumoniae は、一般に肺炎球菌と呼ばれる球状で、ふつう対になって見られる細菌である。グラム陽性に分類され、血液寒天培地ではアルファ型溶血を示す。ストレプトコッカス属に属し、酸素があっても生育できる菌で、ヒトの上気道にしばしば保菌される。臨床的には重要な病原体であり、軽い耳や副鼻腔の感染から、重い肺炎や侵襲性感染症まで、さまざまな感染症の原因となる。

特徴と病原因子

肺炎球菌は、通常は槍先状の双球菌として観察される。鑑別に役立つ主な検査所見には、オプトヒン感受性と胆汁溶解性がある。この菌でもっとも重要な病原因子は多糖体莢膜で、多数の血清型によって性質が異なり、宿主の防御機構から逃れる助けとなる。ほかに、ニューモリシン、表面接着因子、定着を促進する酵素などがある。

疾患 спектラムと重要性

S. pneumoniae は、中耳炎や副鼻腔炎のような非侵襲性感染症、ならびに市中肺炎、髄膜炎、血流感染症のような侵襲性感染症を引き起こす。主に呼吸器飛沫によって広がり、とくに幼い子どもや高齢者の鼻咽頭に定着する。世界的に罹患率と死亡率への影響が大きく、近年数十年のあいだに抗菌薬耐性が出現したことから、公衆衛生上の重要性も高い。

診断、治療、予防

  • 診断:培養、抗原検出、分子検査が肺炎球菌感染の同定に用いられることがある。
  • 治療:歴史的にはペニシリンが有効だったが、耐性の出現により経験的治療の選択に影響が生じ、状況によっては他の抗菌薬の使用が広がっている。
  • 予防:莢膜を標的とするワクチン(結合型ワクチンおよび多糖体ワクチンであるPCV13PPSV23など)により、ワクチンでカバーされる血清型による疾患は減少している。

歴史と研究

肺炎球菌は19世紀末に肺炎の主要な原因として認識され、現代の遺伝学と免疫学の形成に影響した古典的実験にも登場した。莢膜多様性、宿主の体液性反応、抗菌薬耐性の機序に関する研究は現在も続いており、この菌は体液性免疫と遺伝的形質転換の研究で中心的な存在となっている。

注目すべき点

この菌種には多数の血清型があり、認識されているものは90以上で、それぞれ流行のしやすさやワクチンの対象範囲が異なる。アルファ溶血、双球菌としての形態、オプトヒン感受性といった日常的な検査所見は、肺炎球菌を他の連鎖球菌と区別する手がかりになる。臨床指針や詳細な疫学については、公衆衛生および感染症の参考資料、とくに肺炎球菌性肺炎に関する文献や、グラム陽性呼吸器病原体の総説、ワクチンの影響を扱う監視報告を参照するとよい。