概要
失神は一般に気絶とも呼ばれ、一過性の全脳性低灌流によって起こる、短時間で通常は可逆的な意識消失です。語源はギリシャ語の synkopē で、「切り離すこと」を意味します。多くの発作は短く自然におさまりますが、生命に関わる可能性のある心疾患の兆候であることもあります。簡潔な専門的定義は医学用語をご覧ください。
典型的な特徴と機序
失神の前には、ふらつき、発汗、吐き気、視野の変化(トンネル視)、耳鳴りなどを訴えることがあります。横になると回復は通常速やかです。根本的な問題は脳への酸素供給が不十分になることで、たいていは全身の血圧低下が原因です。意識消失についてのやさしい説明はこちらの資料を参照してください。
よくある原因
- 血管迷走神経性失神:反射による血管拡張と心拍数低下で起こり、痛み、強い感情的ストレス、長時間の立位で誘発されることがあります。
- 起立性低血圧:脱水、薬剤、自律神経障害などにより、立ち上がったときに血圧が下がる状態です。
- 心原性失神:不整脈や構造的心疾患により、心拍出量が急激に低下します。
- まれに、重度の低血糖などの代謝異常や肺の病気が関与することもあります。
これらのタイプの違いについては、詳しい解説をご覧ください。
評価と診断
評価は、発生状況、前駆症状、服薬歴、突然死の家族歴に注意しながら行う丁寧な問診と身体診察から始まります。基本検査としては、起立時バイタルサインと12誘導心電図があります。原因がなお不明な場合や心原性失神が疑われる場合には、外来心電図モニタリング、起立傾斜試験、心エコー検査などのより専門的な検査を行います。実践的な指針は臨床情報で確認できます。
治療、予防、そして注意すべき点
急性期には、本人を仰向けに寝かせ、脚を挙上して脳血流の回復を図ります。長期的な治療は原因に応じて行い、血圧を急に下げる薬の中止または変更、起立性の問題に対する水分と塩分の増加、弾性ストッキングの使用、心疾患の治療などが含まれます。至急の心臓評価が必要な警戒所見には、運動中の失神、仰向けでの発症、胸痛や動悸を伴う場合、突然死の家族歴がある場合などがあります。
重要性と予後
失神はよくみられ、生涯で少なくとも一度は気を失う人も多く、ほとんどの発作は良性です。ただし、心原性の原因を持つ少数の患者を見逃さないことが重要です。そうした症例はリスクが高いためです。適切な評価では、不必要な検査を避けつつ、重い病態を遅れなく見つけることの両立が求められます。