アメリカ合衆国憲法修正第23条(修正第23条)は、コロンビア特別区が州であるかのように選挙人団の選挙人を付与することにより、コロンビア特別区に居住する市民にも大統領選挙の投票権を拡大するものである。これは、連邦議会が首都として設置した連邦直轄地(ワシントンDC)の市民が、間接選挙である大統領選挙に参加できるようにするための規定である。この修正案は、1960年6月16日に第86議会で提案され、1961年3月29日に各州で批准されました。
条文の要旨と適用
修正第23条の要旨は、コロンビア特別区に対して「州と同様に」選挙人を割り当てることを認める点にある。ただし、同条はその選挙人の数に上限を設けており、人口の最も少ない州(現在はワイオミング州で3人)に与えられる選挙人の数を超えることはできない。したがって、コロンビア特別区が得られる選挙人の数は最大で3人である。
実務上の運用
修正第23条に基づき、コロンビア特別区の選挙人は他の州と同様、一般有権者による投票で選ばれる(州と同様の選挙管理手続きに従って選挙人が割り当てられる)。修正第23条が発効して以降、同地区が初めて大統領選挙で選挙人を有したのは1964年の選挙であり、それ以降のすべての大統領選挙で、同地区の選挙人票は主に民主党の大統領候補と副大統領候補に投じられている(1964年以降、連続して民主党候補に投票している)。
憲法上・政治上の意義と限界
- メリット:コロンビア特別区の住民に大統領選挙での投票権を事実上付与し、完全な市民参加に近づけた点で重要である。
- 限界:ただし、修正第23条はあくまで選挙人を付与するだけであり、連邦議会における代表権(上院議員・下院議員の投票権)を与えるものではない。したがって、ワシントンDCの住民は現在も完全な議会代表を持っていない。
- 法的・政治的議論:コロンビア特別区の州昇格(州にする)や代表権拡大をめぐっては長年にわたり議論が続いている。修正第23条はその議論において特有の問題を生む。すなわち、もしDCが州になった場合でも、修正第23条が残存すると「首都を構成する地区(the District constituting the seat of Government)」に対しても最大3票の選挙人が自動的に割り当てられる可能性があるため、結果的に追加の選挙人が生じて全国的な選挙人配分に歪みが出るおそれがある。
州昇格と修正第23条の扱い
コロンビア特別区を州に昇格させるか、または恒久的な解決を図る場合、次のような選択肢が議論される:
- 修正第23条を新たな憲法修正で廃止する(憲法修正は議会の3分の2と州の4分の3の批准が必要)。
- 連邦議会が首都を構成する地区の範囲を再編して、ほとんど無人の区域のみを「首都地区」として残し、事実上の選挙人割当が問題にならないようにする(ただし、この方法にも法的・政治的な争点がある)。
- その他、裁判や立法による調整を行う案もあるが、いずれも複雑な憲法上の問題や政治的対立を伴う。
まとめ
修正第23条は、ワシントンDCの住民に大統領選挙への参加機会を与えた重要な規定である一方で、同地区に対する完全な代表権を与えるものではない。選挙人数は最大で3人に限定され、実務的には1964年以降、同地区の選挙人票は一貫して民主党側に投じられてきた。コロンビア特別区の州昇格や代表権改革を検討する際には、修正第23条の存廃や適用範囲をどう扱うかが大きな争点となる。