名誉勲章はアメリカ南北戦争中に創設されました。これは、米国政府が軍隊のメンバーに贈る最高の軍事勲章です。受給者は、米国の敵に対して行動を起こした際に、自らの命を危険にさらしながらも、任務を超えた活躍をした者でなければなりません。この勲章の性質上、一般的には受章者が死亡(死後)した後に贈られます。
歴史の概略
1861年に勲章が創設されて以来、米国大統領は米国議会の名において、3,471個の名誉勲章を国の兵士、水兵、航空隊員、海兵隊員、および沿岸警備隊員に授与してきました。創設当初は南北戦争における勇敢な行為を称えるための制度として始まり、その後も米国内外の戦闘行為や極めて危険な任務遂行に対する最高の栄誉として位置づけられてきました。
これらの授与に関する引用文(推薦理由や行為の記録)は公文書館に保管されており、長年にわたり散逸や印刷物の不足がありました。1973年、米国上院は退役軍人問題委員会としてこれらの引用文を編集・印刷するよう命じ、1863年から1973年までの受章記録が文書化され、後に1979年に再版されています。こうした史料整理は、受章事実の検証や歴史的評価を促進しました。
代表的な初期受章者と注目点
最初の陸軍名誉勲章は、アメリカ南北戦争中の大機関車追跡(Great Locomotive Chase)での役割により、ジェイコブ・パロット二等兵に授与されました。アフリカ系アメリカ人として初めてこの賞を受賞したのは、顔、肩、腕、足を撃たれたにもかかわらず、アメリカ国旗が地面に触れることを拒否したウィリアム・ハーヴェイ・カーニーでした。女性で唯一の名誉勲章受章者は、南北戦争の外科医であったメアリー・エドワーズ・ウォーカーです。彼女のメダルは1917年に他の多くの非戦闘賞と一緒に取り消されましたが、1977年にジミー・カーター大統領によって復活しました。
授与基準と手続き
1918 年からの現行法(United States Code Title 10)では、受章者は、受賞の根拠となるような勇敢な行為を行った時点で米軍に従軍していなければならないと明記されていますが、例外も設けられています。例えば、チャールズ・リンドバーグは米陸軍航空隊の予備隊員であったが、民間人パイロットとして名誉勲章を受章したという特殊な例があります。
授与手続きは通常、同僚や上官による推薦から始まり、軍の調査と上申を経て各軍の長官、国防省、最終的には大統領の承認を受け、「議会の名において」授与されます。名誉勲章は戦時・平時を問わず授与され得ますが、推薦理由の慎重な検証と複数段階の審査が行われるため、受章決定までに長期間を要することが多いです。
国籍・所属に関する特例と外国人の受章
米国市民であることは勲章を受章するための必須条件ではありませんが、原則として米国軍の隊員に授与されます。例外として、他国民が米軍に従軍していた場合や、特別な貢献があった場合に授与されることがあります。たとえば、アメリカ軍に従軍していた61人のカナダ人が名誉勲章を受章していますが、そのほとんどはアメリカ南北戦争での行動に対するものです。1900年以降、カナダ人に授与されたのは4回のみであり、ベトナム戦争では、ピーター・C・レモンがカナダ人唯一の名誉勲章受章者となりました。
また、1921 年 10 月 17 日にはパーシング将軍から英国の無名戦士に名誉勲章が授与され、その後 1921 年 11 月 11 日には英国の最高勲章であるヴィクトリア十字章が授与されるなど、国際的な象徴的授与の事例もあります。
デザインと各軍種の差異
名誉勲章には軍種ごとに異なるデザインが存在します。主に陸軍用、海軍用(海軍は海兵隊も含む)、および空軍用の三種が用いられており、それぞれ細部の意匠やリボンの色が異なります。沿岸警備隊員の受章例もあり、沿岸警備隊独自のデザインや取扱が適用されることがあります。勲章自体は金や銀めっきを施した精巧なメダルで、通常は大統領から手渡される儀式で授与されます。
主な受章者・珍しい例
名誉勲章の受章者には、戦闘での際立った勇気を示した兵士や、水上救助や敵地での行動など非常に多様な状況での英雄的行為が含まれます。以下は代表的・注目すべき例や特徴です(抜粋)。
- ジェイコブ・パロット:最初の受章者(大機関車追跡)。
- ウィリアム・ハーヴェイ・カーニー:アフリカ系アメリカ人として初の受章者の一人で、国旗を守った功績で知られる。
- メアリー・エドワーズ・ウォーカー:唯一の女性受章者(授与取り消し後に1977年復活)。
- 典型的には授与は戦闘中の行為に対して行われますが、歴史的には民間人や外国人に対する例外的授与も存在する(例:チャールズ・リンドバーグなど)。
- 二度受章した者や、戦後に見直されて遡及的に授与された例もある。
待遇・儀礼・特典
名誉勲章受章者には、法的・慣習的な特典や栄誉が付与されます。具体的には特別年金や連邦政府からの栄典、公式行事での優遇、国葬や追悼式における取り扱いなどが例として挙げられます。また、軍内では受章者に対して特別な敬礼や礼遇が払われる慣行があり、社会的にも高い評価を受けます。
見直し・論争・撤回の歴史
名誉勲章の授与に関しては、公正さや政治的影響、基準の変遷などを巡って議論が繰り返されてきました。1917年には非戦闘や基準に満たないと判断された複数の授与が取り消され、その後一部が復活された例もあります。個別の事例については歴史的文脈や当時の資料を踏まえて再評価が行われることがあり、議会や国防省による再審査が行われることもあります。
まとめと現在の意義
名誉勲章は、米国における軍人の勇気と自己犠牲を象徴する最高の栄誉であり、その授与は歴史的・制度的に重い意味を持ちます。創設以来、多くの英雄的行為が記録されており、その記録は公文書や研究を通じて保存・検証されています。現在も授与基準や手続きは厳格であり、受章は個人の勇気だけでなく、その行為が国家的価値として評価された証でもあります。