数学において、曲面積分は曲面(空間的に設定された曲線でもよい)上の定積分である。線分積分が1次元、1変数を扱うように、曲面積分は2次元に沿った2重積分と考えることができる。曲面が与えられると、そのスカラー場(数値を値として返す関数)とベクトル場(ベクトルを値として返す関数)に対して積分を行うことができます。
表面積は物理学、特に古典的な電磁気学の理論で応用されている。
基本的な定義と記法
曲面 S をパラメトリック表示 r(u,v) で与えるとき、曲面上のスカラー場 f とベクトル場 F に対する曲面積分は次のように定義される。
- スカラー場の曲面積分(面積に関する積分):
∬_S f dS = ∬_D f(r(u,v)) |r_u × r_v| dudv
ここで r_u = ∂r/∂u, r_v = ∂r/∂v、|r_u × r_v| は面要素の大きさを与える。 - ベクトル場の曲面積分(フラックス積分):
∬_S F · n dS = ∬_D F(r(u,v)) · (r_u × r_v) dudv
ここで n は通常の向きに従った単位法線ベクトルで、r_u × r_v の方向が法線の向きを示す(符号に注意)。
面要素の具体例
- グラフ z = g(x,y) の場合(S = {(x,y,g(x,y))}):
dS = sqrt(1 + g_x^2 + g_y^2) dx dy - 球面(半径 R) を球面座標で表すと r(θ,φ) = (R sinθ cosφ, R sinθ sinφ, R cosθ)(0 ≤ θ ≤ π, 0 ≤ φ < 2π)。
面要素は dS = R^2 sinθ dθ dφ であり、球面全体の面積は 4πR^2 となる。 - 円柱(半径 a, 高さ h) の側面:パラメータ (θ,z) → r(θ,z) = (a cosθ, a sinθ, z) で、dS = a dθ dz など。
計算の手順(実用的な流れ)
- 曲面 S を適切にパラメータ r(u,v) で表す(または z = g(x,y) の形に書く)。
- 必要ならば r_u と r_v を計算し、r_u × r_v の大きさを求める。
- 積分する関数 f(r(u,v)) または F(r(u,v))·(r_u × r_v) を書き下す。
- パラメータ領域 D 上で二重積分を評価する(必要に応じて座標変換を行う)。
- 向き(法線ベクトルの向き)に注意して符号を確かめる。
向き・境界・定理との関係
- 向きの重要性:ベクトル場のフラックスを扱うとき、曲面に法線方向が定まっていないと値は定義できない。同じ曲面でも法線を反転すると積分値は符号が反転する。
- ストークスの定理:曲面 S の境界 ∂S を向くとき、∬_S (curl F)·n dS = ∮_{∂S} F·dr。これは曲面積分と線積分を結ぶ重要な関係である。
- 発散定理(ガウスの定理):閉曲面 ∂V に対して ∬_{∂V} F·n dS = ∭_V div F dV。閉曲面上のフラックスを体積内の発散に変換する。
電磁気学への応用例
- ガウスの法則(静電場):電場 E に対して、閉曲面 S を貫く電気力線の総数(フラックス)は包囲する電荷 Q_enc に比例する。式で表すと ∬_S E·dA = Q_enc/ε0 。これは曲面積分の直接的な応用である。
- 磁束とファラデーの法則:磁束 Φ_B = ∬_S B·dA を定義し、磁束の時間変化が誘導起電力(起電力 ε = - dΦ_B/dt)を生む。ここでも曲面積分が中心的役割を果たす。
- 境界条件やフラックスの計算:導体表面や誘電体の界面での場の正確な振る舞いを解析する際に曲面積分は頻繁に用いられる。
よくある例題(簡単な結果)
- 球面(半径 R)の面積:A = ∬_S dS = ∫_0^{2π} ∫_0^π R^2 sinθ dθ dφ = 4πR^2。
- グラフ z = g(x,y) の面積:A = ∬_D sqrt(1 + g_x^2 + g_y^2) dx dy。
注意点・拡張
- 曲面が自己交差する場合やパラメータ表示が一意でない場合は注意が必要。通常は局所的にパラメトリゼーションをとって積分を定義する。
- 滑らかでない境界や特異点があるときは、極限や分割を用いて積分を定義することが多い。測度論的な扱い(面積測度)に拡張することも可能である。
- 微分形式を用いると一般次元での「面積」や「フラックス」を統一的に扱える(高度な視点)。
上記は曲面積分の定義、計算法、物理への応用を概観したものである。具体的な問題ではパラメータの取り方、積分領域の設定、法線の向きに特に注意して計算する。



