ヴォークリューズ(Occitan: Vauclusa)は、フランスの南東部、プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏にある県である。県庁所在地はアヴィニョン。行政上の県番号は84で、面積は約3,567km²、人口はおおむね約56万人規模である。県内にはサブプレフェクチュール(副県庁所在地)としてカーンペール(Carpentras)やアプト(Apt)などがある。地理的には地中海性気候の影響を受け、年間を通じて温暖で日照時間が長いのが特徴である。
ヴォークリューズという名前は、フォンテーヌ・ド・ヴォークリューズというコミューンにある有名な泉の名前に由来しています。ヴォークリューズという名前は、ラテン語のVallis Clausa(閉じた谷)に由来し、この谷が崖に突き当たり、そこから泉が湧き出していることから付けられました。フォンテーヌ・ド・ヴォークリューズの泉は石灰岩のカルスト地形に源をもち、地下水が一点に集まって湧き出す「湧水」の代表的な例で、湧出量は季節や降水量で変動します。泉の水はソルグ川(Sorgue)となって流れ出し、深さはおおむね300メートルを超えると測定されたことがあるなど、その地下洞窟の複雑さと深さでも知られています。
地理と自然
県内は高地の山塊と広い平野が混在しており、代表的な地形としては、北部のモン・ヴァントゥ(Mont Ventoux、標高約1,909m)、リュベロン(Luberon)山地、対照的にローヌ川流域に広がる肥沃な平野があります。モン・ヴァントゥは気候風土に大きな影響を与え、サイクリングや登山、冬季の雪景色でも有名で、ツール・ド・フランスの山岳ステージでもしばしば登場します。
歴史の概略
ヴォークリューズの歴史は古く、ローマ時代からの遺跡や中世の町並みが残ります。中世にはコンタ・ヴェネッサン(Comtat Venaissin)として教皇領の一部となり、やがてアヴィニョンが教皇の居城となったことで地域の重要性が増しました。アヴィニョンは14世紀に教皇庁が置かれたことで発展し、現在でもパレ・デ・パプ(Palaise des Papes)などの歴史的建築が残ります。
観光と文化
- アヴィニョン:パレ・デ・パプ(教皇庁宮殿)、Pont Saint-Bénézet(いわゆる「アヴィニョンの橋」)などの歴史遺産があり、旧市街はUNESCO世界遺産に登録されています。毎年夏に開催される「アヴィニョン演劇祭(Festival d'Avignon)」は国内外から多くの観客を集める重要な文化イベントです。
- フォンテーヌ・ド・ヴォークリューズ:前述の湧水と美しい谷は自然景観のハイライトで、散策や写真撮影の名所です。
- ルベロン地方:絵のように美しい山村(ゴルド、ルシヨン、フニエールなど)やトレッキングコースがあり、田園風景とプロヴァンスらしい石造りの集落が観光客に人気です。
- ワインと美食:シャトー=ヌフ=デュ=パプ(Châteauneuf-du-Pape)など著名なワイン生産地があり、ワインツーリズムや地元食材を生かした料理も魅力です。
- リル=シュル=ラ=ソルグ(L'Isle-sur-la-Sorgue):運河とアンティーク市で知られる町で、週末の蚤の市は観光客に人気です。
経済と産業
経済は観光業が中心的役割を果たす一方、農業も盛んです。ブドウ畑(ワイン)、ラベンダー、オリーブ、果物(特にアプリコット)などが主要作物で、地元の加工食品やオリーブ油、生ハム、チーズなども経済と文化の重要な要素です。また、地元の中小企業やサービス産業、文化産業も地域経済を支えています。
アクセス
パリやマルセイユから鉄道や自動車でアクセス可能で、アヴィニョンには高速鉄道(TGV)の駅もあり、国内外からの観光客が訪れやすい立地です。地域内は道路網や地方鉄道、バス路線が発達しており、車での移動が便利ですが、主要観光地は公共交通やツアーでも巡ることができます。
以上のように、ヴォークリューズ県は豊かな自然、歴史的遺産、食文化とワイン、そして活発な文化イベントが融合した地域で、プロヴァンスらしい魅力を多面的に楽しめる場所です。




