ドイツの政治は連邦議会制民主共和制に基づいている。政府は国民によって選挙で選ばれ、基本的にすべての成人に選挙権が保障されている。憲法グルントゲゼッツ(Grundgesetz、基本法)と呼ばれ、国民の基本的人権や自由を定めるとともに、国家機関――大統領、内閣、立法府、裁判所などの役割と権限についても規定している。

政府のしくみと権限

大統領は形式的には国家元首であり、国を代表する儀礼的・憲法上の役割を担う。一方、実質的な行政の長は連邦首相で、政府の長であり、通常は連邦議会と呼ばれる下院(Bundestag)で多数を確保した与党連合の長が就く。政府(内閣)は政府の責任で行政権を行使し、省庁を通じて政策を実行する。閣僚は多くの場合議会のメンバーだが、議会外から任命されることもある。

連邦の立法は二院制的な特徴を持つ。連邦法を制定する権限は政府や議会にあり、法律は主に下院(Bundestag)で審議されるが、各州を代表する上院(Bundesrat)が連邦立法に関与し、特に州の権限に関わる法律については同意が必要となる。ここでの調整によって、連邦と州(Länder)の利益が反映される。

選挙制度は混合比例代表制(小選挙区制と比例代表制の組み合わせ)で、選挙人は通常「一票目(Erststimme)」で小選挙区代表、そして「二票目(Zweitstimme)」で政党リストに投票する。二票目が議席配分に大きな影響を与えるため、政党得票率と小選挙区での当選状況の調整により、議席数が増減することがある。この制度の結果、多くの場合、単独過半数を得る政党は少なく、複数政党による連立政権が一般的である。

主要政党と政治の変遷

第二次大戦後から冷戦期を通じて、1949年から1990年までは、ドイツ社会民主党(SPD)とキリスト教民主同盟(CDUが主導する政治が中心で、バイエルン州キリスト教社会同盟(CSUがその「姉妹政党」として連携していた。冷戦後の政局や社会の変化により、政党構成にも多様化が進んだ。

再統一以降は、環境問題や市民運動を基盤にした緑の党(同盟'90/Die Grünen)が影響力を増し、1998年に連立に参加して以降、政策形成で重要な役割を果たしてきた。再統一後の東ドイツを背景にした政党としては、かつての東独支配政党であったドイツ社会主義統一党を母体としたPDSがあり、西ドイツの左派と結びついて成長し、2007年にDie LinkeがWASGは、オスカル・ラフォンテーヌらの指導の下で合流して現代の左派党勢力を形成した。

近年はさらに政党スペクトルが広がり、自由主義を掲げる自由民主党(FDP)や、反移民・反EUの立場で躍進した新興政党などが政治に影響を与えている。連立を組む相手によって政策の方向性が大きく変わるため、選挙後の交渉と合意形成が重要である。

連邦と州(Länder)の役割

ドイツは連邦制国家であり、多くの行政分野は16のLänder)に委ねられている。教育、文化、警察、地方自治などは主に州の責任であり、連邦が州を一方的に廃止することはできない。州は連邦参議院(Bundesrat)を通じて連邦立法に参加し、州政府が連邦政策へ影響を及ぼす仕組みになっている。

最終的に、ドイツの政治は多様な利害と価値観を連立や協議で調整しながら機能している。基本法は人権と民主主義を強く保護しており、裁判所(特に連邦憲法裁判所)が憲法保障の最終的な守護者として重要な役割を果たしている。