地球の年齢は45億年強と推定されています。これを計算するのは、なかなか難しい問題でした。人類の歴史の中で、地球に関する基本的な事実はほとんど知られていなかったのである。この問題に地球科学者たちが取り組んだのは、20世紀に入ってからである。
現在の推定値は、放射性物質を用いた年代測定法に基づいている。地球上で最も古い鉱物は、西オーストラリアのジャック・ヒルズで採取されたジルコンの小さな結晶で、少なくとも44億年前のものである。また、太陽系内で形成された隕石に含まれる最古の固体であるCa-Alに富む包有物は45億6700万年前のものである。これにより、太陽系の年齢と地球の年齢の上限が示された。
どのようにして年齢を求めるのか
放射年代測定は、放射性同位体の崩壊を利用します。親同位体が一定の割合で娘同位体に変わっていくこと(崩壊定数が既知であること)を前提に、試料中の親・娘同位体の比を測定して「形成からの経過時間」を計算します。代表的な系には次のものがあります:
- U–Pb(ウラン→鉛):長寿命で、ジルコンなどの鉱物に適用される。二つのウラン系列(238U→206Pb、235U→207Pb)を同時に使うことで検証が可能。
- Pb–Pb(鉛同位体比):隕石や岩石の年代を高精度で決めるために用いられることが多い。
- Sm–Nd、Rb–Sr、K–Ar など:用途や年代スケールに応じて使い分けられる。
ジルコン(Zircon)による証拠
ジルコンはU(ウラン)を取り込む一方で放射性生成物のPb(鉛)を取り込みにくいため、結晶生成時の年代を保持しやすい「堅牢な時計」です。ジャック・ヒルズのジルコンはU–Pb法で約44.0〜44.4億年前の年代が得られており、これが地球表層に固体の鉱物が存在した最古の直接的証拠とされています。ジルコンは後の地質過程で再結晶や部分的変質を受けることがあるため、データの信頼性を確かめるために複数の同位体系やコンコーディア(concordia)解析が行われます。
隕石と太陽系の年齢
地球単独の岩石ではなく、太陽系全体の形成年代を知るために隕石が利用されます。隕石に含まれるCa-Alに富む包有物(CAI)は、太陽系で最初期に固化した物質と考えられており、Pb–Pb年代で4.567×10^9年(約45億6700万年前)という高精度な値が得られています。隕石の年代は「太陽系がいつ作られたか」の指標となり、地球の形成はこれ以降に起こったと考えられるため、隕石の年代は地球年齢の上限を与えます。
「地球の年齢」とは何を指すか
注意点として、「地球の年齢」と言っても定義は一つではありません。一般的には次の二つを区別します:
- 太陽系の材料が最初に固まった時点(CAIの年代=約45.67億年)。
- 地球が惑星としてまとまり、現在のような内部構造を持ち始めた時点(隕石や鉛同位体等のデータから推定され、一般に約45.4億年(4.54±0.05 Ga)と表現されることが多い)。
また、地球表面に最初の固体の地殻(ジルコンなど)が現れたのは約44億年より少し前後と考えられ、これは「地殻の最古の証拠」の年齢です。
不確かさと相互検証
年代測定にはいくつかの前提(試料が「閉じた系」であったこと、崩壊定数が正確に知られていること、初期の娘同位体量がわかっていること)が必要です。これらの前提を検証するため、複数の同位体系を使った相互比較や、異なる隕石・鉱物群の比較、鉛同位体比を用いる手法などが行われます。こうした複数の独立した手法が一致していることが、現在の「約45億年」という結論の信頼性を支えています。
まとめ:ジルコンのU–Pb年代は地球表面に古い固体が存在したことを示し、隕石(CAI)のPb–Pb年代は太陽系の形成年代を示します。これらの証拠と複数の同位体系による検証から、地球と太陽系は約45億年規模の年齢を持つと結論づけられています。

