『Tangled(塔の上のラプンツェル)』は、2010年に公開されたアメリカのコンピュータアニメーションによるミュージカル・ファンタジー・コメディ映画です。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが制作し、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが配給しています。ウォルト・ディズニー・アニメーション・クラシック・シリーズの第50作目にあたり、グリム兄弟のドイツの童話「ラプンツェル」を基にした長編作品です。
あらすじ(概略)
幼いラプンツェルは、王家の血筋ながら赤ん坊のころに誘拐され、ゴーテルという女に塔で育てられます。ラプンツェルの持つ長く魔法の力を秘めた金色の髪は、ゴーテルが若さを保つために利用するものでした。外の世界を知らずに育ったラプンツェルは、毎年空に放たれる灯(ランタン)を目にしていつか外へ出たいと願います。ある日、盗賊でありならず者のフリン・ライダー(Flynn Rider)と出会い、彼の助けを借りて塔を抜け出し、二人は冒険を通じて互いに成長していきます。
制作・スタッフ
- 監督:バイロン・ハワード(Byron Howard)とナサニエル・グレノ(Nathan Greno)
- 製作:ロイ・コンリ(Roy Conli)
- 脚本:ダン・フォーグルマン(Dan Fogelman)ほか
- 音楽:アラン・メンケン(Alan Menken)、作詞:グレン・スレーター(Glenn Slater)
- 主な声の出演:マンディ・ムーア(ラプンツェル)、ザッカリー・リーヴァイ(フリン・ライダー)、ドナ・マーフィ(ゴーテル)など
本作は従来の2Dディズニー・プリンセス作品の雰囲気を踏襲しつつ、最新のCGI技術で描かれています。とくにラプンツェルの長い髪の表現は高度な物理シミュレーションと専用ソフトウェアの開発によって実現され、自然な動きや光の反射を再現するためのライティング技術も導入されました。
タイトル変更とマーケティング
制作当初はRapunzelというタイトルで宣伝されていましたが、公開前にTangledへ変更されました。この変更は、単なる“プリンセス映画”の枠にとどまらない幅広い観客層への訴求を意図したものと説明されましたが、一部では主人公ラプンツェルの扱いが後退しているとする批判も出ました。
音楽
音楽はアラン・メンケンが担当し、作詞はグレン・スレーターが務めました。劇中歌「I See the Light」はとくに評価され、映像の中でも重要な場面(ランタンのシーン)と結びついて観客の印象に残るナンバーとなっています。
公開・メディア展開
Tangledは2010年11月14日にロサンゼルスのエル・キャピタン・シアターで初演され、11月24日に全米で一般公開されました。ホームメディアは2011年3月29日にブルーレイとDVDで発売されています。
興行収入と評価
制作費は約2億6,000万ドルと伝えられ、世界興行収入は約5億9,000万ドルに達しました。批評面では、アニメーションのクオリティ、音楽、キャラクター描写が高く評価される一方で、ストーリー構成や従来作との比較で賛否が分かれる点もありました。
受賞では、楽曲「I See the Light」がアカデミー賞(歌曲賞)やゴールデン・グローブ賞にノミネートされるなど、音楽面での評価が特に目立ちました。
影響とその後
『Tangled』はディズニーのプリンセス像に新たな解釈を与え、CGアニメーション技術の進化を示す作品としても位置づけられています。また、成功を受けて短編やテレビシリーズ(後年のスピンオフシリーズなど)につながるマーチャンダイジングやメディア展開も行われました。