変ホ短調(E♭短調)とは:音階・調号・代表曲・響きの特徴
変ホ短調(E♭短調)の音階・調号・代表曲・響きの特徴を詳解。バッハやラフマニノフ、プロコフィエフ等の名曲例と演奏・編曲のポイントも紹介。
変ホ短調(E♭短調)は、E♭を主音とする短調の音階です。調号は6つのフラット(B♭, E♭, A♭, D♭, G♭, C♭)で表されます。標準的な自然短音階は次のようになります:E♭ – F – G♭ – A♭ – B♭ – C♭ – D♭ – E♭。和声的短音階(ホ長を短7度上げる)や旋律的短音階(上行では6度7度を半音上げ、下行では自然短音階に戻す)にもそれぞれ変化します。
音階・調関係
相対長調は変ト長調(G♭長)で、同主長調(平行長調)は変ホ長調(E♭長)です。エンハーモニックに相当するのは嬰ニ短調である(D♯短調)として扱われることがありますが、表記上は六つのフラットを持つE♭短調として書かれることが一般的です。
響きと特徴
変ホ短調は、しばしば「暗い」「悲劇的」「神秘的」と形容される音色を持ちます。低音域に重みが出やすく、半音階進行や和声的短音階の導入により劇的で緊張感のある表情を作りやすいのが特徴です。オーケストラ音楽では、転調や特殊な色彩を狙うときに用いられることが多く、常用調としてはやや稀です。
オーケストレーションと実用上の注意
オーケストラの実務では、管楽器や移調楽器の配置、楽器ごとの指使いの都合から、E♭短調を直接採用するよりも近い平易な調に転調することを勧められる場合があります。特に金管・木管の運指や弦楽器の開放弦の響きを重視する場合には、ニ短調(D短調)やホ短調(E短調)などへ移すことが実務上便利になることがあります。一方、ピアノや鍵盤楽器の独奏曲では、この調特有の色彩をそのまま活かす作品も多く存在します。モジュレーションのために一時的に用いられることも多いです(参照:モジュレーションの)。
代表的な作品・作曲家
ヨハン・ゼバスティアン・バッハの『ウェルテンパード・クラヴィーア』第1巻では、前奏曲第8番が変ホ短調で書かれ、続くフーガは嬰ニ短調(D♯短調)として表記されることがあります。第2巻では、同じ転換がより一貫して嬰ニ短調で表記されています(表記上のエンハーモニック扱いによる差異)。
交響曲ではこの調が珍しく、プロコフィエフの交響曲第6番がその代表例の一つです。ソビエトの作曲家(エシュパイ、ヤニス・イヴァノフ〈交響曲第4番「アトランティス」1941年〉、オヴチニコフ、ミャスコフスキーなど)も、劇的な表現を求めてこの調で交響曲を書いています。
ラフマニノフの小品にも変ホ短調の作品があり、〈エレジー〉作品3第1番や〈Études-Tableaux〉作品39第5番はこの調で書かれています。これらは暗く神秘的なムードを持つことで知られます。また、ジャズでも〈'Round Midnight〉のように、同様の濃密で憂いのある響きを持つ演奏例が知られています(必ずしも原調がE♭短調とは限りませんが、雰囲気の類似性が指摘されます)。
グスタフ・マーラーの交響曲第8番では、第2楽章の導入に長い管弦楽と合唱のパッセージがあり、変ホ短調の色彩が用いられています。ベートーヴェンの唯一のオラトリオ『オリーブ山の上のキリスト』(Christ on the Mount of Olives)でも、暗い管弦楽序奏が変ホ短調の色合いを帯びています。
まとめと活用のヒント
- 調号:6つの♭(B♭, E♭, A♭, D♭, G♭, C♭)。
- 音階例(自然短音階):E♭ – F – G♭ – A♭ – B♭ – C♭ – D♭ – E♭。
- 特徴:暗く重厚、神秘的・悲劇的な色彩を持つ。表現効果を狙って選ばれることが多い。
- 実践上の注意:オーケストレーションでは移調や音域の処理を検討すること。ピアノや鍵盤曲では原調のままの魅力が活きる。
以上の点から、変ホ短調は色彩的に強い個性を持つ調であり、作曲や編曲の際にはその響きと楽器別の取り扱いを意識すると効果的です。
スケールとキー
| · v · t · e ダイアトニック・スケールとキー | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 表は、各音階のシャープまたはフラットの数を示しています。マイナースケールは小文字で書かれています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
質問と回答
Q:変ホ短調とは何ですか?
A: 変ホ短調は、変ホ短調とも呼ばれ、変ホ音を基音とする短音階です。調号には6つの♭が含まれています。
Q:変ホ短調の相対的長調とは何ですか?
A:変ホ短調の相対的長調は変ト長調です。
Q: 変ホ短調の平行長調は何ですか?
A:変ホ短調の平行長調は変ホ長調です。
Q: このキーのエンハーモニック等価は何ですか?
A: この調のエンハーモニックに相当する調は嬰ニ短調です。
Q: この調はオーケストラ音楽でよく使われるのですか?
A: この調はオーケストラ音楽ではあまり使われず、通常は他の調との間で転調するためにのみ使われます。
Q:この調で書かれた有名な曲はありますか?
A: 有名な曲としては、Johann Sebastian Bachの「平均律クラヴィーア曲集」第1巻から第8番の前奏曲、Prokofievの交響曲第6番、Rachmaninovの「Elegie」作品3第1番どTableaux作品39第5番、ジャズの「Round Midnight」「Take Five」、Beethovenのオラトリオ「オリーブ山キリスト」やGustav Mahlerの交響曲8番第2楽章などが挙げられます。
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