プリンス・オブ・エジプト(The Prince of Egypt)は、ドリームワークス・アニメーション製作の1998年のアメリカのミュージカル・ドラマアニメ映画で、旧約聖書の出エジプト記を原案にした大作です。物語は、エジプトの王子としてのモーセの幼少期から成長、そしてイスラエルの子供たちをエジプトから脱出させるという運命へと至るまでを描きます。監督はブレンダ・チャップマン、サイモン・ウェルズ、スティーブ・ヒックナーの三人。楽曲はスティーブン・シュワルツが手がけ、劇伴(スコア)はハンス・ツィマーが担当しました。声の出演には多くのハリウッドの人気俳優が名を連ね、ミュージカルパートではプロの歌手が歌唱する場面も多くありますが、ミシェル・ファイファー、ラルフ・ファインズ、オフラ・ハザ(同曲を17か国語以上で歌唱した)、スティーブ・マーティン、マーティン・ショートらは例外的に自ら歌唱しています。

あらすじ(簡潔)

物語は、赤ん坊のモーセがエジプト王家に拾われ育てられるところから始まります。やがて自分の出生の秘密とヘブライ人の苦境を知ったモーセは、自らのルーツと信念に向き合い、最終的に神の導きのもとでエジプトを去る決断をします。映画は兄弟のように育ったラムセス(王子)との確執や、奇跡的な"十の災い"、そして紅海の分裂といったドラマティックな場面を通して、自由と信仰、責任のテーマを描きます。

制作と演出

本作は主に伝統的な手描きアニメーションを基調にしつつ、一部でコンピュータグラフィックス(CG)を効果的に使用した点が特徴です。特に紅海が割れるシーンなど、大規模な視覚効果にはCGが用いられています。アニメーションの品質、背景美術、光と影の表現に力が注がれ、叙事詩的なスケールをアニメで表現することを目指しました。

音楽

劇中歌はスティーブン・シュワルツが手がけ、ハンス・ツィマーがスコアを担当しました。中でも「When You Believe」は映画を代表するバラードで、1999年のアカデミー賞で最優秀オリジナル曲賞を受賞しました。ポップ・シングル版はホイットニー・ヒューストンとマライア・キャリーが歌い、授賞式でも披露され大きな注目を集めました。ポップ版にはベイビーフェイスによる追加制作が施され、幅広い層に届くサウンドになっています。

公開と評価・受賞

本作は1998年12月18日に劇場公開され、後に1999年9月14日にホームビデオとして発売されました。批評面では、史実や宗教的題材の扱い方、映像表現、音楽の評価が高く、家族連れから成人層まで幅広い層に支持されました。1999年には「When You Believe」がアカデミー賞最優秀オリジナル曲賞を受賞し、さらに同曲はゴールデン・グローブ賞にもノミネートされました。また、ALMA賞のOutstanding Performance of a Song for a Feature Filmにもノミネートされています。

興行成績と影響

映画は全世界でおよそ218,613,188ドルの興行収入を記録し、米国国内でも1億ドルを超えるヒットを記録しました。これにより、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ以外のアニメ作品としては当時上位に位置付けられ、同様に成功した作品としてはパラマウント/ニッケルロデオンのラグラッツ・ムービーなどが挙げられます。プリンス・オブ・エジプトは2000年まで、ディズニー以外の伝統的アニメ映画としては最高の興行成績を誇っていました(その後は『チキン・ラン』などが上回る)。

続編・派生作品と遺産

映画の成功を受け、2000年にはビデオ公開の前日譚としてジョセフ:キング・オブ・ドリームス(原題:Joseph: King of Dreams)が制作されました。また舞台化の話も持ち上がるなど、作品は映画以降も多方面で影響を与えました。さらに本作はドリームワークス・アニメーションが制作した伝統的な長編アニメーションの中でアカデミー賞を受賞した作品の一つとして評価されています。

本記事は作品の主要な面(あらすじ、制作、音楽、受賞、興行成績、派生)を簡潔にまとめたものです。関心がある方は個別の楽曲や制作陣、視覚表現の詳細などさらに深掘りしてご覧になることをおすすめします。