バーモント州出身の後輩のアメリカ合衆国上院議員であり、同州の元下院議員であるバーニー・サンダースの2016年の大統領選挙は、2015年4月30日に非公式に出馬の意向を示したことに続き、2015年5月26日にバーモント州バーリントンで正式に立候補を表明したことで始まりました。

経緯と背景

サンダースは少なくとも2013年11月頃から、無所属と民主党の両方の立場から、アメリカ大統領候補として検討されていました。彼は1970年代に左派の自由連合党(Liberty Union Party)に一時的に所属した後、無所属となりましたが、意見の多くは民主党の進歩派と一致しており、上院では民主党に所属して活動しているため、2016年選挙では民主党の予備選に出馬しました。

政策(主な公約)

  • 単一支払者型の医療保険(Medicare for All):全ての国民に公的医療を提供する単一支払者制度の導入を主張。
  • 大学学費の無償化・学費負担軽減:公立大学の学費無償化や学生ローン負債の軽減を掲げた。
  • 最低賃金の引き上げ:連邦最低賃金を時給15ドルへ引き上げることを提案。
  • 富裕層と大企業への課税強化:所得・富裕税の引き上げや大企業への税制改革で所得格差是正を目指す。
  • 金融規制とウォール街改革:大手金融機関の規模縮小や規制強化を訴えた。
  • 気候変動対策:再生可能エネルギーへの大規模投資と温室効果ガス削減の強化を主張(後の「グリーン・ニュー・ディール」的な議論に影響)。
  • 貿易と外交:労働者保護を優先する貿易政策や、過度の軍事介入に頼らない外交を提唱。
  • 選挙と政治資金改革:大口献金の制限、政治資金の透明化、公的資金による選挙制度の強化など。

選挙戦の展開

サンダースの選挙運動は、草の根の小口寄付と大規模な集会を特徴としました。彼は「政治革命(political revolution)」というスローガンで、特に若年層や低中所得層から強い支持を集め、史上有数の小口寄付による資金調達を達成しました。大手メディアや党内の予備選序盤ではクリントン前国務長官が優勢と見られていましたが、サンダースは幾つかの重要な州で予備選・党員集会の勝利を収め、予備選レースを長期化させました。

支持基盤は若年層、大学・高学歴層、白人の労働者層、進歩的な有権者に強く、ラテン系や一部の都市部アフリカ系有権者では支持が分かれました。討論会での存在感やソーシャルメディアでの動員力も注目されました。

大会と結果

2016年の民主党全国大会は2016年7月に開催され、プロセスの結果としてヒラリー・クリントンが必要な代議員を確保して指名されました。原文にもある通り、2016年7月26日、大会での点呼投票においてサンダースはクリントンに指名権を奪われた形になりました。サンダースはその後、民主党候補であるクリントンを支持することを表明し、党内の結束を呼びかけました。

影響と遺産

  • サンダースの主張した政策(医療保険の普遍化、大学無償化、経済的不平等の是正など)は党内の主要議題となり、民主党の政策論争を左寄りに活性化させました。
  • 若年層の政治参加を大きく促し、草の根の進歩派運動(後の候補者支援や団体化)を生み出しました。例えば運動体「Our Revolution」などが誕生し、地方・連邦レベルでの進歩派候補の台頭に影響を与えました。
  • 2020年以降の民主党内の政策議論(Medicare for Allやグリーン・ニュー・ディールなど)や候補者たちのプラットフォームに明確な影響を残しました。

批判と論点

批判としては、サンダースの政策は実行可能性や財源について懐疑的な見方をされることが多く、選挙戦では「当選可能性(electability)」を巡る論争が起きました。また、党内の既存勢力との軋轢や、予備選過程での代議員配分・投票手続きへの批判も一部で見られました。

まとめ

バーニー・サンダースの2016年大統領選出馬は、最終的に指名獲得には至らなかったものの、政策議論に大きな影響を与え、米国の進歩派運動を再活性化しました。彼の訴えた経済的不平等や医療・教育の問題は、その後の政治課題として現在でも重要な位置を占めています。