ニュージーランドの動物相:ゴンドワナ由来の進化、固有種と保全対策
ニュージーランドの動物たちには非常に特徴的で不思議な歴史があります。主に押さえておきたい点は、ニュージーランドの島々がかつてゴンドワナ大陸の一部であり、約8400万年前にゴンドワナ大陸から分離したことです。この長い孤立により、他の大陸で見られる大型の陸上哺乳類がほとんど存在せず、代わりに鳥類や昆虫、爬虫類が多様化して独自の生態系を築きました。
進化の経緯と代表的な固有種
ニュージーランドは長期間にわたる島嶼(とうしょ)化のために、飛べない鳥や特殊な爬虫類が多数進化しました。たとえば大型の地上性鳥類であったモア類は典型的な例で、かつては島の優占種でした。モアの主要な捕食者は、陸上の哺乳類ではなく、巨大な鳥類の一種であるハーストワシのような猛禽類でした。
- キウイ
- カカポ
- トゥアタラの2種(スフェノドン):約2億年前に栄えた爬虫類群の生き残りで、しばしば「生きた化石」と呼ばれます。これらは現在、クック海峡やプレンティ湾の島々など限られた場所にしか生息していません。
- 多様な爬虫類と両生類:本文中の通り、約60種のトカゲ(内訳としてヤモリ30種、スカンク30種)、カエルは4種(いずれも希少で絶滅危惧種)が知られています。
トゥアタラのゲノム解析では、この種が非常に大きなゲノム(およそ50億〜60億塩基対のDNA配列)を持つことが明らかになり、進化学的にも重要な研究対象となっています。
人間到来と外来種の影響
人間がニュージーランドに到達したのは約1300年前のことで、最初の移住者であるポリネシア人はポリネシアネズミ(キオレ)や犬を連れてきました。その後ヨーロッパ人の到来により、さらに多くの外来哺乳類がもたらされました。特に問題になったのは次のような種です:
これらの外来動物は、地上繁殖する鳥類や小型爬虫類、両生類の卵やひなを捕食したり、植生を食い荒らして生息地を劣化させたりして、多くの在来種を絶滅へと追い込みました。特に、かつて森林や低地に広く見られた多くの鳥類は、外来捕食者のプレッシャーで激減しました。
保全と復元の取り組み
近年、ニュージーランドでは外来哺乳類を排除し、在来生態系を復元するための積極的な取り組みが行われています。重要な戦略と事例を以下に示します。
- 無哺乳類化(捕食者の根絶):沖合の小島や隔離された陸域からネズミやマスト(フェレット・ストート等)を根絶する取り組みが進められており、多くの島で繁殖地を取り戻す成功例があります(例:ティリティリ・マタンギ、コドフィッシュ=Whenua Houなど)。
- 生態系の「島」化と防護柵:本土でも柵で囲ったエリア内で外来哺乳類を完全に排除し、在来種を再導入・保護する試みが増えています。例えば、ウェリントン市のカロリ野生動物保護区(Zealandia)では哺乳類防止柵を設置して生態系を回復させ、柵内外での再導入やモニタリングが行われています。文中のように、柵設置直後に大量のポッサムが駆除された例もあります。また、マウンガタウタリ復元プロジェクトのような大規模保全地域も重要です。
- 島嶼根絶プロジェクト:多くの島で毒甘誘(空中散布など)やトラップでネズミやポッサムを根絶し、その後カカポやトゥアタラ、キウイなどを移送して安全な繁殖地を確保しています。
- 種の直接保護・繁殖管理:例えばカカポのように個体数が少ない種は人工繁殖、人工授精、遺伝的管理、厳重な捕食者対策を行い生存率を上げています。キウイではOperation Nest Eggのように若鳥を捕獲・飼育して大型捕食者を免れた成長後に野外放鳥する手法が功を奏しています。
- 生物安全(ボーダー管理):新たな外来種の侵入を防ぐため、空港・港湾での検疫強化や市民への教育が行われています。
- 地域コミュニティと市民科学:地域レベルでのトラップ設置、モニタリング、植生回復作業に住民が参加し、成功事例を増やしています。
- 政策面と国際的目標:政府は「Predator Free 2050(2050年までに主要な外来捕食哺乳類を根絶する)」などの目標を掲げ、研究・技術開発(遺伝的手法、より効果的なトラップ・毒剤の開発)に投資しています。
課題と展望
保全活動は一定の成果を上げていますが、以下の課題が残ります:
- 本土規模での根絶は困難であり、広範囲での持続的な防除体制が必要。
- ポッサムや鹿による植生への影響、森林の構造変化を回復させるには長期的な植生再生が必要。
- 社会的合意(毒剤使用の是非、土地利用者との調整など)を得ることの難しさ。
- 気候変動や新たな病原体の脅威に対する備え。
それでも、ニュージーランドの保全実践は世界的にも注目されており、島嶼保全の手法やコミュニティ主体の復元プロジェクトは国際的なモデルとなっています。古くからの飛べない鳥が多く進化した特殊な生態系を守るためには、科学的な管理、強力な生物安全、そして地域社会の協力が今後も不可欠です。

飛べないキウイはニュージーランドの国のシンボルです。
質問と回答
Q:ニュージーランドの動物の歴史は?
A:ニュージーランドの動物には変わった歴史があります。この島々は8400万年前にゴンドワナ大陸の一部となり、そこから分離しました。また、鳥類はかなり後になってから飛来しています。
Q:ニュージーランドは何で有名ですか?
A:ニュージーランドは陸生鳥類でよく知られており、そのうちのいくつかは大型の種(モア)でした。
Q:モアの主な捕食者は何だったのでしょうか?
A:モアの主な捕食者は、巨大なハーストワシのような他の鳥類でした。
Q:ニュージーランドがゴンドワナ大陸から分離したのは何年前?
A:ニュージーランドは8400万年前にゴンドワナ大陸から分離しました。
Q:ニュージーランドに固有の哺乳類肉食獣はいますか?
A:いいえ。何百万年もの間、ニュージーランドには哺乳類肉食獣は生息していません。
Q:モアとはどんな動物ですか?
A:モアは大型の陸生鳥類です。
Q:肉食動物が島にやってくる前、モアはどのように身を守っていたのですか?
A:モアには天敵がいなかったので、自分たちの身を守るために自衛手段をとっていたのです。