サーミ人(Saamiとも表記される)は、ヨーロッパの最北端に位置するサーピ地方に住む民族である。ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの一部である。世界のサーミ人の数は8万人から13万5千人である。サーミ人はラップ族と呼ばれることもあるが、これは侮辱的で否定的な意味を持っている。英語では今でもラップランドと呼ばれることがあります。
サーミには10種類の話し言葉があります。このうち6つは書くことができます。
"考古学的研究によると、紀元前1500年から1000年の間にスカンジナビア半島でサーミと同定される文化が発生したことが判明した"
分布
サーミ(Sámi/Saami)の伝統的な生活圏はサーピ(Sápmi)と呼ばれ、ノルウェー北部、スウェーデン北部、フィンランド北部、ロシアのコーラ半島にまたがります。現代では都市部へ移住した人々も多く、漁業・農業・林業・サービス業など多様な職業に就いていますが、伝統的には遊牧的なトナカイ飼育、漁業、狩猟が重要な生業でした。
歴史
- 考古学的には、前述のように紀元前1500〜1000年頃から特徴的な文化遺物が見られ、長い歴史を持つ先住民と考えられています。
- 中世以降、スカンジナビア諸国やロシアとの接触・交易が増え、外部国家による境界線が設定されるにつれて伝統的な移動範囲が分断されることになりました。18世紀には越境放牧などを認める取り決め(例:いわゆるラップ条項/Lapp Codicilに相当する諸協定)が作られた例もあります。
- 19〜20世紀には同化政策や言語抑圧、宗教的改宗、強制的な教育(寄宿学校)などにより文化と言語が縮小・危機にさらされました。近年は権利回復や文化復興の運動が進んでいます。
言語
サーミ語はインド・ヨーロッパ語族ではなくウラル語族に属する一群の言語で、互いに十分に異なり互換性が低いものが多いです。一般に「サーミ語」は複数の言語(方言群)を指し、学術的にはおよそ10前後の主要な言語があるとされます。中でも北サーミ語(Northern Sámi)は話者数が最も多く、教育・メディア・出版で広く用いられています。
約6言語に関しては標準的な文字表記や語彙整備が進み、学校教育や書き言葉に使えるようになっています。言語保存・復興の取り組みとして、幼稚園・学校でのサーミ語教育、ラジオ・テレビ番組、辞書や文学作品の刊行などが行われています。
文化
- トナカイ飼育:一部のサーミ集団にとって中心的な生業で、移動・放牧・冬季の管理など固有の技術と社会制度があります。
- ジョイク(joik/juoiggis):サーミの伝統歌唱。人物や自然、場所を表現する口承の表現形式で、宗教的・儀礼的意味を持つこともあります。
- デュオッジ(duodji):生活用具や衣服、装飾品にあたる伝統工芸。ガクティ(gákti)と呼ばれる民族衣装は祭礼や式典で用いられます。
- 祝祭・記念日:サーミ全国デー(2月6日)など、文化行事や祭りを通して伝統が継承されています。
政治・権利
20世紀後半以降、サーミの権利回復と政治的代表性強化が進み、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドにはそれぞれサーミ議会(Sámediggi / Sametinget)や類似の制度が設置され、文化や言語の保護、政策提言を行っています。ロシア側では制度的な代表機関の整備は限定的です。
現在でも土地利用権や水利、鉱業・林業・発電所の影響、気候変動による生業への打撃などをめぐり、交渉や法的争いが続いています。国際的な場ではサーミの権利や先住民の権利保護に関する議論が行われており、各国の法制度や国際条約の適用が重要なテーマです。
現代の課題と取り組み
- 言語消失と文化継承:若い世代への言語教育やコミュニティ活動による継承が進められています。
- 環境変化と生業:地球温暖化やインフラ開発がトナカイ放牧や漁業に影響を与えており、持続可能な管理が求められています。
- 権利回復と自治:土地・資源利用に関する法的権利の確立、政治的発言力の強化が継続的課題です。
- 文化の再評価と観光:観光と文化保存のバランス、外部からの誤解やステレオタイプへの対処も重要です。
用語については、先述のとおり「ラップ(Lapp)」という語は歴史的に差別的・侮蔑的な用法で使われてきたため、現在は「サーミ(Sámi/サーミ人)」という自称を尊重するのが一般的です。
サーミ文化は多様で歴史が深く、現代では文化復興と権利擁護の取り組みが続けられています。関心がある場合は、地域のサーミ文化館や公式のサーミ議会、文化団体などの一次情報を確認すると、より詳しく現状を知ることができます。

