グローバル200は、世界自然保護基金(WWF)が保全のために優先的に取り組むべきエコリージョンとして特定したリストである。WWFによると、エコリージョンとは、「種、動態、環境条件の大部分を共有する特徴的な自然群落を含む土地または水の比較的大きな単位(Dinerstein et al 1995, TNC 1997)」と定義されています。
WWFは、「グローバル200」の各エコリージョンに、危機的または絶滅危惧、脆弱、比較的安定または無傷という保全状況を割り当てています。グローバル200に含まれるエコリージョンの半数以上は、絶滅の危機に瀕していると評価されています。
選定基準と範囲
グローバル200は単なる地域リストではなく、地球上の主要な生態系タイプ(陸域、淡水域、海洋域)を代表し、以下のような点を基準にして選定されています。
- 生物多様性の豊かさ:種の多様性や種の集積が高いこと。
- 固有種(エンドミズム):その地域にのみ分布する種が多いこと。
- 生態系の独自性・希少性:地球規模で見て希少な生態系や生態的プロセスを含むこと。
- 保存の緊急性と可能性:脅威の度合い、保全対策の実行可能性、保全効果の大きさ。
名称に「200」とありますが、実際には主要な生態系タイプを幅広くカバーするために200をやや上回るエコリージョンがリストに含まれています。選定は生物地理学的知見や既存の調査結果に基づき行われ、地域ごとに詳細な保全方針(エコリージョナル・プラン)が作成されることが多いです。
保全状況の分類と意味
WWFが用いる保全状況区分は、おおむね次のような意味合いを持ちます。
- 危機的または絶滅危惧:生息環境が著しく損なわれ、種や生態系が崩壊の危機にある状態。早急な保全措置が必要。
- 脆弱:人為的圧力や環境変化に対して脆弱で、現状のままでは将来的に深刻な劣化が進行する可能性が高い状態。
- 比較的安定または無傷:まだ広範な自然が保たれており、生態系機能が比較的良好な状態。ただし今後の開発や気候変動による影響に備える必要がある。
これらの評価は国や地域ごとの情報、現地調査、衛星データなどを用いて行われ、定期的な再評価・更新が行われます。
主な脅威と代表的な対策
- 生息地の喪失・断片化:農地拡大や都市化、インフラ整備による影響。対策は保護区の設定・拡大、回廊の確保、土地利用計画の改善。
- 過剰利用・乱獲:森林伐採や漁業の過剰な圧力。持続可能な利用管理や違法取引の取り締まりが重要。
- 外来種・病害:在来生態系の撹乱を防ぐための監視・駆除プログラム。
- 汚染:農薬・廃棄物・海洋汚染への対策として排出規制や汚染源管理。
- 気候変動:生息域の変化に対応するための適応策(生態系回復、移動経路の確保、気候に強い保全計画)。
これらの対策には、政府機関、地域コミュニティ、先住民族、民間団体など多様な主体の協働が不可欠です。地域の社会経済的事情を考慮した参加型の保全が、持続性を高めます。
実践と課題
グローバル200は政策立案や資金配分の指針として広く利用されてきました。多くのエコリージョンで保護区の整備や生態系管理計画が進められ、地域レベルでの生物多様性保全に貢献しています。一方で、資金不足、地元の生活との調整、国境を跨ぐ管理の難しさ、気候変動の影響など複数の課題が残ります。
最終的に重要なのは、単にリスト化することではなく、対象地域ごとに実効性のある保全行動を継続的に実施し、成果をモニタリングして適応的に管理することです。