石炭は硬い岩石で、固体の化石燃料として燃やすことができます。ほとんどが炭素ですが、水素、硫黄、酸素、窒素も含まれています。石炭は泥炭が堆積してできた岩石で、後にその上に敷き詰められた岩石が圧力をかけてできたものです。

泥炭、つまり石炭は、炭素紀後期(ペンシルバニア紀)のような熱帯の湿地帯に数百万年前に生息していた植物の残骸から形成されます。また、空気のない空間で加熱された木材は、石炭と同じように木炭を作ることができます。

石炭はエネルギーや熱のために燃やすことができます。現在採掘されている石炭の約3分の2は、発電所で燃やして電気を作っています。石油と同じように、石炭が燃やされると、その炭素が空気中の酸素と結合して大量の二酸化炭素を発生させ、気候変動の原因となります。そのため、ほとんどの国では太陽光発電などの新しいエネルギー源を利用するようになってきています。しかし、中国など世界の一部の地域では、まだ新しい石炭発電所が建設されています。

石炭はロースト(酸素のない場所で非常に高温に加熱)してコークスを作ることができます。コークスは、その鉱石から金属を還元するために製錬に使用することができます。

石炭の種類と性質

石炭は生成過程と炭化度によって分類され、一般的には次のようなランクがあります。

  • 泥炭(Peat): 炭化が浅く含水率が高い。
  • 褐炭(Lignite): 発熱量は低めで電力用として使われることが多い。
  • 亜瀝青炭(Sub-bituminous): 褐炭より発熱量が高い。
  • 瀝青炭(Bituminous): 工業用・発電用ともに広く利用される中級の石炭。
  • 無煙炭(Anthracite): 炭化度が高く発熱量が大、燃焼時のすすが少ない。

ランクが上がるほど炭素含有率と発熱量が高く、揮発分や水分は少なくなります。用途や燃焼特性は種類によって大きく異なります。

生成過程(石炭化)

石炭は、沼沢地に蓄積した植物残骸が嫌気的条件(酸素の少ない環境)で堆積し、長期間にわたって圧力と温度の影響を受けることで形成されます。分解により揮発成分や水分が失われ、炭素濃度が高まる過程が数百万年単位で進みます。地層の埋没深度や地熱流入により、最終的な石炭のランクが決まります。

採掘方法と主な利用分野

採掘方法は主に二つに分かれます。

  • 露天掘り(表層採掘): 地表近くにある場合に大型機械で掘削。効率が良いが景観破壊や土壌流出の影響が大きい。
  • 坑内採掘(地下採掘): 地下の鉱床を掘り進める方法。労働安全上のリスクや地盤沈下の問題がある。

利用分野は主に次のとおりです。

  • 発電:世界の多くの国で主要な火力発電燃料として使われる。発電所で燃焼して蒸気タービンを駆動する。
  • 製鉄(コークス):石炭を高温で乾留(コークス化)して揮発分を抜いたコークスは、溶鉱炉で鉄鉱石を還元するために不可欠。
  • 化学原料:石炭から得られるコールタールやガスは化学品の原料となる。
  • 暖房・産業熱源:セメント、窯業、紙パルプ産業などで燃料として利用。

環境影響と健康被害

石炭の採掘・燃焼は多様な環境・健康問題を引き起こします。

  • 温室効果ガス(CO2)排出:石炭は化石燃料の中でも単位熱量当たりのCO2排出量が大きく、気候変動の主要因の一つです。
  • 大気汚染:燃焼に伴う硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、浮遊粒子状物質(PM2.5/PM10)、一酸化炭素、揮発性有機化合物などが生成され、酸性雨、スモッグ、呼吸器疾患の原因になります。
  • 有害金属と毒性物質:石炭灰には水銀、砒素、鉛などの重金属が含まれ、飛灰や灰処理で環境汚染を引き起こすことがあります。コークス製造中にはベンゼンなどの有害化学物質が発生します。
  • 水質・土壌汚染:採掘現場からの排水(酸性鉱山排水)や廃棄物の流出が河川や地下水を汚染します。
  • 公衆衛生:坑内労働者のじん肺(黒煤肺)などの職業病、周辺住民の心肺系疾患リスク増加が報告されています。

削減・対策技術と代替

石炭由来の環境負荷を下げるための技術と政策は複数あります。

  • 排ガス浄化技術:脱硫装置(FGD)、脱硝装置(SCRやSNCR)、集じん装置(電気集じん機、バッグフィルター)による有害物質除去。
  • 発電効率向上:超々臨界(USC)やIGCC(統合ガス化複合発電)など高効率技術でCO2排出を抑える。
  • 二酸化炭素回収・貯留(CCS):排出されたCO2を回収して地中に貯留する技術。ただしコストや長期安全性など課題がある。
  • バイオマス混焼・燃料転換:石炭火力にバイオマスを混合することで化石由来CO2を削減する試み。
  • 再生可能エネルギーへの移行:太陽光、風力、地熱などの拡大と電力系統の柔軟化(蓄電池・需要側管理)で石炭依存を低減する。

世界の動向と今後

多くの先進国や企業は石炭からの脱却を進めていますが、電力の安定供給や経済性の観点から依然として石炭に頼る国や地域も存在します。製鉄向けのコークス需要は短中期的に継続する見通しであり、鉄鋼業の脱炭素化(直接還元鉄(DRI)や電炉の拡大、グリーン水素利用など)が進まない限りコークス需要は残る可能性があります。

まとめ

石炭は古代の植物残骸が長い時間をかけて変成してできた重要な化石燃料で、発電や製鉄など産業に不可欠な側面を持ちます。一方で、CO2や大気汚染物質を多く排出し、健康や環境に重大な影響を与えるため、技術的対策と再生可能エネルギーへの移行が世界的に求められています。用途や地域の事情に応じて、効率化・浄化技術・代替燃料の組合せで影響軽減を進めることが重要です。