ナゲキバト(Zenaida macroura)は、ハト科(Columbidae)に属する中型の鳥です。学名はそのまま英語で「Mourning Dove」と呼ばれ、和名は「ナゲキバト(嘆き鳩)」と訳されることが多いです。5つの亜種が認められており、全体の個体数は非常に多く、推定でおよそ4億7500万羽にのぼります。主に北アメリカ大陸に広く分布し、都市部から農地、開けた森林の周辺まで多様な環境で見られます。
外見とサイズ
体色は淡い灰色から茶色がかった色調で、胸や腹部はややピンクがかった色味を帯びます。体側面や翼に黒い小斑が入り、尾は先端が細く尖る形で、飛翔時に目立つ白い縁取りが見られます。オスとメスで羽色に顕著な差はなく、若鳥はやや淡い色合いで斑が多いことがあります。
- 体長:およそ24–33 cm
- 翼開長(翼幅):およそ40–50 cm
- 体重:およそ110–170 g
- 飛翔速度:速い飛び方が特徴で、最大で約88 km/hに達するとされます
生息地と分布
ナゲキバトは北アメリカ大陸全域に分布し、カナダ南部からメキシコ、中央アメリカ北部までみられます。開けた草地、農耕地、郊外の公園や庭、河川敷など、種子が得られる比較的開けた場所を好みます。都市部にも順応し、人家の近くで繁殖・越冬する個体も多く見られます。北方の個体群は冬季に南方へ移動する傾向があり、部分的な移動(部分渡り)を示します。
行動と社会性
繁殖期以外は群れで行動することが多く、餌場やねぐらで群れる様子がよく観察されます。飛翔は力強く直線的で、尾を大きく開いて飛ぶため視認されやすいです。鳴き声は哀愁を帯びた巻き音の「クー、クー」といった連続したコーイングで、そこから「ナゲキ(嘆き)」の名が付けられました。
繁殖
この種は概して一妻一夫制(短期間のつがい形成)で、つがいの双方が巣作りや抱卵、給餌を行います。巣は枝を浅く積んだ簡素な作りで、木の枝や低木、時には人工物の上にも作られます。
- 産卵数:通常1–2個(多くは2個)
- 抱卵期間:約11–15日(両親が交代で抱卵)
- 雛の巣立ち:孵化後およそ2週間ほどで巣立つが、その後もしばらく親からの世話を受ける
- 給餌:親は育雛期にいわゆる「作物の乳(crop milk)」を雛に与え、離乳後は種子を砕いて与えます(作物の乳を与える)。
食性
主に種子食(グラニボアス)で、地上で草の種子や農作物の種子をついばむことが多いです。時に小さな果実や昆虫を食べることもありますが、成鳥の主食は種子です(原文のとおり「種子しか食べない」と断言するのはやや誇張で、補助的な動物性餌も摂ります)。
天敵と寿命
猛禽類(ハヤブサ類、タカ類)や小型の捕食哺乳類(ネコ、アライグマなど)が主な天敵です。自然下での平均寿命は短いことが多いですが、保護下や安全な環境では数年〜十年以上生きる個体例もあります。カリフォルニアなどで記録された最長寿の個体は10年以上生きた例があります。
狩猟と人間との関係
ナゲキバトはスポーツハンティングと食用(肉)として狩猟されます。アメリカ合衆国では毎年多くの個体が狩猟の対象となっており、原文の通り年間で約7千万羽が撃ち落とされるとされるほど人気の狩猟対象です。各州で狩猟期間や1日当たりの持ち帰り上限(bag limit)などの規制が設けられています。狩猟は種の管理や狩猟文化の一部であると同時に、生息地保全や個体管理の議論の対象にもなっています。
保全状況
個体数は非常に多く、IUCNなどでも一般に低懸念(Least Concern)とされています。ただし、局所的には生息地の変化、車両衝突、毒餌や農薬の影響などで減少することがあります。広範なモニタリングと規制された狩猟により、現在のところ大陸規模での深刻な減少は報告されていません。
まとめ
ナゲキバト(Zenaida macroura)は、北アメリカで広く見られるよく知られたハトの一種です。淡い灰色と茶色の体色、哀愁を帯びた鳴き声、種子を主に食べる習性、そして高い飛翔能力が特徴です。繁殖は一夫一婦的な形を取り、親は雛に作物の乳を与え世話をします。狩猟の対象でもあり、保全面では現在大きな懸念はないものの、局所的な脅威には注意が必要です。







