自殺とは、自らの命を絶とうとする行為のことです。言葉の使い方としては「自殺で亡くなった」「自殺で死んだ」といった表現が望ましく、「自殺した」といった言い方は避けた方がいい場合があります。誰かが自殺について考えている状態は「自殺願望がある」と表現されます。
緊急性と最初に取るべき対応
誰かが自殺を考え始めたら、それは医療上の緊急事態であり、できるだけ早く専門的な評価を受ける必要があります。いつでも一人にしてはいけません。すぐにできる対応は次の通りです:
- 直球で尋ねる:遠回しにせず「自殺を考えていますか?」と直接聞いて構いません。話しかけることで孤立感が和らぐことがあります。
- 安全確保:短期的に刃物や薬物、飛び降りられる場所など危険な手段を手の届かない場所に移すなど、即時の危険を取り除きます。
- 一人にしない:相手が落ち着くまでそばにいて、必要なら救急や専門機関に連絡します。
- 専門家への繋ぎ:できるだけ早く自殺のリスク評価を受けるよう手配してください。
原因と関連要因
自殺の背景は多面的で、一つの原因だけでは説明できないことが多いです。次の要素が関係することがしばしばあります:
- 精神状態や病気:うつ病、双極性障害、統合失調症、不安障害、物質使用障害などが関連します。これらは慢性的な場合もあれば、急性の発症として突然現れる場合もあります(慢性的 / 急性)。
- うつ病:自殺願望と最も強く関連する疾患の一つです。うつ病は他の精神疾患や医学的疾患の症状であることもあります。
- 対人関係や生活上のストレス(失業、経済的困窮、病気、重大な喪失など)や、強いストレスが誘因となることがあります。
- いじめや不登校など、社会的な孤立や拒絶経験。
危険因子と警告サイン
リスクを評価するときに注目すべき点:
- 過去の自殺未遂や自傷の既往
- 具体的な自殺計画、手段へのアクセス(薬・武器など)
- 絶望感、理由のない罪悪感、急激な気分の変化
- アルコールや薬物の乱用
- 社会的孤立、重要な関係の喪失、経済的困窮
保護因子としては、家族や友人などの支え、治療へのアクセス、将来の希望や責任感(子どもやペットなど)が挙げられます。
リスク評価の基本的な問いかけ
危険性を判断する際に有用な質問(直接尋ねて良い):
- 「今、自分の命を終わらせたいと思っていますか?」(自殺念慮の有無)
- 「具体的にどうやって/いつそのつもりですか?」(計画の有無・具体性)
- 「そのための手段は手元にありますか?」(実行手段の有無)
- 「これまでに自傷や自殺未遂をしたことがありますか?」(既往)
- 「今すぐ自分の命を絶つつもりがありますか?」(実行意図の有無)
これらの質問により、緊急性(今すぐ危険かどうか)を判断し、適切な対応レベルを決めます。
その場で取るべき具体的な行動
- 相手を非難せず傾聴する。批判や簡単な説得(「頑張れ」など)は逆効果になり得ます。
- 危険が差し迫っている場合は、ただちに救急(119など)や地域の危機対応サービスに連絡する。
- 可能であれば家族や信頼できる人に協力を依頼し、専門機関への受診を手配する。
- 頻繁に接触を保ち、支援ネットワークと連携して継続的に見守る。
治療と予防
うつ病など多くの関連疾患は治療可能な病気であり、適切な治療や支援により自殺を予防できることが多いです。主要な介入には次のものがあります:
- 心理療法(認知行動療法:CBT、弁証法的行動療法:DBTなどの自殺念慮に効果のある介入)
- 薬物療法(抗うつ薬など)や精神科的評価
- 危機介入(安全計画作成、短期の入院や観察)
- ソーシャルサポートの強化、生活支援、リハビリテーション
- 地域・学校での予防教育やゲートキーパー研修(周囲の人が早期発見できるようにする取り組み)
影響と公衆衛生的視点
自殺は個人だけでなく、遺族やコミュニティに深刻な影響を与えます。WHOは世界規模で約40秒に1人が自殺で亡くなっていると推定しており、若年層(15〜29歳など)で主要な死因の一つとされています。さらに、自殺が起きると少なくとも6人の他者が深刻な影響を受けると推定されています(WHO)。
最後に/支援を求めるとき
自殺は多くの場合予防可能です。本人や周囲の人が早めに助けを求め、専門家による評価と治療に繋げることが重要です。もしあなた自身やあなたの知る人が危険な状態にあると感じたら、ためらわずに地域の緊急連絡先や医療機関、危機支援窓口に連絡してください。周囲の人は非難せずに話を聞き、専門家につなぐ役割を担ってください。
(参考:本文中のリンク先資料やWHO等の公的情報を参照して解説しています。)




